佐々木俊尚さんに聞く発酵食とオイル。「さまざまな料理に使えるへしこを常備しています。」
日々の食卓に欠かせない、発酵食とオイルをジャーナリストの佐々木俊尚さんに聞きました。
撮影・青木和義、角戸菜摘
東京のほか、福井と軽井沢にも住居を持ち、各地の発酵食を食卓に取り入れている佐々木さん。ここ最近、気に入っているのは、へしこ。鯖に塩を振って塩漬けにし、その後、ぬか漬けにした、福井の郷土料理だ。
「そのまま酒のつまみにするほか、冷ご飯にかつお節や白髪ねぎと一緒にのせて、お茶漬けにするとおいしいです。ペペロンチーノに入れて、アンチョビ代わりにしたり、チャーハンや酢の物にプラスしてもいけますよ」
また、ぬか漬けや浅漬けも、自宅で漬けてよく食べている。
「福井は特に、野菜がとてもおいしいんです。夏は、トマト、キュウリ、インゲン、スナップエンドウなどを浅漬けにして食べます。漬けるときに使うのは、軽井沢の、横川サービスエリアなどで購入できる峠の釜めしの容器と、専用の漬物用重石。ここに野菜と一緒に塩、だし昆布、鷹の爪を和えて漬けると、ちょうどいい量ができるんです」
よく飲んでいるお茶も、緑茶を漬物と同じように漬け込んで発酵させた、高知県の名産、碁石茶。
「すっぱいのですが、もともと酸味が利いたものが好きなので、気に入っています。世の中の流れ的にも、酸味の強いコーヒーやビオワインなど、すっぱい味のものが流行っていますよね。発酵食品を食べる人が増えたのも、健康に良いということ以外に、すっぱさがクセになる、ということもあるような気がします」
佐々木俊尚(ささき・としなお)●テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで幅広く執筆。著書は『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎新書)など多数。
『クロワッサン』973号より
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