普段、何気なく味わっている料理には、当然のことながらさまざまな味が重なり合っている。今回注目するのは、うま味。塩味、甘味、酸味、苦味と並び基本的な味覚の一つで、本能的に身体が欲し、味わうと高い満足感が得られるのが特徴だ。
「うま味成分は、大きく分けてアミノ酸系と核酸系の2種類があります。グルタミン酸というアミノ酸系の成分と、イノシン酸やグアニル酸といった核酸系の成分は、それらを組み合わせることによって、最大で7〜8倍もうま味がアップします」
と教えてくれたのは、科学という分野を通して京都大学大学院時代から料理を研究・開発している平松サリーさん。
「わかりやすい例では、和食のベースとなる味には、昆布などに含まれるグルタミン酸と鰹節などのイノシン酸がありますが、合わせて使うと、それぞれ単体でだしをとるよりもうま味が増幅します」
さらにダイエット中にうれしいのは、うま味によって少量でも満足感を得られることや、油脂や糖分、塩分などを控えてもおいしく仕上がる痩せレシピになること。合わせだしは江戸時代から使われるようになったが、科学的にうま味の相乗効果が判明したのは約50年前だとか。昆布×鰹節という王道の組み合わせは、先人の知恵による賜物のようだ。