からだ

【前編】バービー×湯山玲子対談「太る痩せるより大切なことは幸せに生きるかどうかよ!」

成功したり、失敗したり……数々のダイエットを経験したバービーさん、湯山玲子さんがすすめる"太くて明るい生き方"塾。
  • 撮影・黒澤義教 ヘア&メイク・村田真弓
「顔の面積が広くて メイクが映える! 派手に生きます」とバービーさん(右)。「太っているというせっかくの特徴を生かさないとね!」と湯山さん(左)。

人を明るい気持ちにさせる名人、お笑い芸人のバービーさんと著述家の湯山玲子さん。ダイエット経験豊富な二人だから話せる、減量の落とし穴とその抜け出し方は役立つ指針の宝庫です。

バービーさん(以下、バービー) 私は中2のとき、ゼリーで腹をふくらませることで食事量を減らすダイエット法で7㎏痩せたことに味をしめたのが、この道に入るきっかけでした。

湯山玲子さん(以下、湯山) この道というのはお笑いの道?

バービー ダイエットとリバウンドを繰り返す道です(笑)。受験で太って、高校でテニス部に入り激しく運動しながら、ゆでたまごとコーヒーだけ摂取する謎のダイエット法にハマり、フラフラになりながら痩せたんですが、また受験で太って……という繰り返し。

湯山 集中力があるのね。でも、体にはよくないわね。

バービー 芸能界に入って10㎏太ったんですよ。その状態が今のベースで、年に3㎏から5㎏ぐらい、いつも変動があります。テレビの企画でダイエットしては終わった後リバウンドする繰り返しですね。72㎏ぐらいがベースになっていて、マックス78㎏。いちばん痩せたときで63㎏ぐらい。

湯山 そんなに太ったり痩せたりして大丈夫なの? つらくない?

バービー 仕事ですから(笑)。でも、30歳を過ぎてから、体に負担がきてることに気づきましたね。栄養不足でハゲができたり……。

身長159㎝のバービーさん。番組の企画でダイ エットして、このとき 63 ㎏。相方のハジメさんと。

太いと自分を責めるより、 細くなくても明るく生きよ。

湯山 そこまで自分を追い込むと、反動が絶対くるからね。

バービー そうなんですよ。で、辛抱できない自分に腹が立ってくる。

湯山 ああ、そういうことなんだよね。心を損ねていっちゃう。

バービー 私は意志が弱いんだなってダメ人間のように思えてきます。

湯山 そこでダメ人間って自分を痛めつけて、どんどん暗く人生を損ねるか、太っていても損ねない生き方を選ぶか。判断すべきだと思うよ。

バービー 自己嫌悪になるほど太るんですよ。ストレス食いで、どうなってもいいやと自暴自棄になって(笑)。

湯山 私もそのクチ。『クロワッサン』の企画で何回か、ダイエット体験やったんだけど全部ダメ。もうさ、「これ詐欺じゃないのか?」って夫が会社で言われたりして自己嫌悪よ(笑)。

バービー 私は仕事でダイエットするときは、まわりに迷惑をかけないように努力するけど、プライベートでやろうとすると成功しません。

湯山 監視の目は必要ね。私は20代の前半まで痩せてたのよ。信じられないかもしれないけど細かったのよー。

バービー 太った原因は何ですか?

湯山 仕事だな。ぴあに就職して20代後半で3カ月、NHKに出向みたいな形でムックを2冊同時進行させたの。それを統括して予算も管理して、ほとんど徹夜に近い状態でサウナに寄って仮眠してまた仕事する……。あのときは食べることしか楽しみがなくて。

バービー ストレス食いですね。

湯山 そうなの。3カ月のハードワークを終えて私が元の職場に戻ったとき、みんなが驚いた。「2倍になってる」って。人一倍働いて2倍になったのね。

バービー 3カ月で2倍……。

湯山 病的よね。ショックで痩せればいいのに、そうはいかなかった。

バービー 忙しかったんでしょうね。

湯山 そうそう。あとね、仕事が忙しくなると付き合いの食事が増えて、30代でエンゲル係数が一気に上がったんですよ。そこで人脈やキャリアの形成もあるから、社会人としての自信と肉が一緒についちゃって、あんまり本気で痩せようと思わないのよ。だから雑誌の企画では成果が出なかった、と。

848号(2013年3月10日号)で、湯山さんは三歩進んで二 歩下がるダイエットの難しさを切々と自ら綴った。

バービー 痩せる動機は大事ですね。

湯山 若い女の子とか、最近は美魔女のような大人の女性もそうだけど、「きれいになればハッピーがくる。痩せれば物事すべて好転する」と信じている人が多いよね。そんなことはない。ダイエットに過剰な期待を抱かないことよ。反対に、太っているから全部あきらめるというのも絶対よくない。「細い太い」と「幸せと不幸」は関係ない。「細い太い」と「モテるモテない」も別問題。

バービー テレビの企画でダイエットするとき、しんどいのが「どうして痩せたいか根拠をください」と言われることなんですよ。そこで求められることは、「かわいい服を着たい」「モテたい」「婚活したい」といった感じのことで、私の場合どれもないんです。太っていてもファッションを楽しむことはできているし、モテますから(笑)。

湯山 おしゃれだし、モテるというのもわかる。「痩せなきゃモテない、痩せなきゃかわいい服が着られない」って観念をマスコミが植えつけちゃってる。それを、女たちが自分の行動原則として取り入れてしまって、みんな痩せたがるのよ。

バービー そういうことを言いたくないから、「バラエティできれいなお尻を出したいからダイエットします」とかコメントするんですけどね。そこは使われないんですよ。

湯山 その点、雑誌は大丈夫よ、周辺事情も全部書いてくれるから(笑)。

バービー 私はヒップラインをきれいに見せたいがために、ウエストを引き締めたいだけなんですよ!

湯山 イイ! いいと思う。日本の世の中、まだまだ同調圧力みたいなのが強いからね。横並びで、平均でなくちゃいけないという空気。みんな違うんだから、そんなこと忖度してたら自分の人生を生きられないよね。

バービー 規格外のほうがキャラ立ちしていいですけどね。出る杭は打たれることもありますけど(笑)。

湯山 打たれる痛みにはだんだん鈍感になるから大丈夫(笑)。そうはいっても太ってることは事実だから、自己管理ができないといったバッドワードが隣にいつも控えてると思って、気を引き締めていかなくちゃダメだと思う。メイクやファッション、態度に気を配って努力すれば太っているのが個性と認められるけど、油断すると厳しい言葉の攻撃の矢が飛んでくる。

バービー 無難にするのとは違うんですよね。積極的にいかないと。

湯山 よく女の人が体型を気にしてかかる呪いでさ、「二の腕はもう出せないわ」とかあるじゃない。夏なんか袖なしの服とか着たほうが素敵よ。ウエストが気になっても、ぴったりしたパンツを太めの人がはいたらかわいいウエストはテクで隠せるし。アメリカのヒップホップのダンサーみたいな感じとか、バービーは取り入れるの上手よね。

バービー 痩せてないからというだけで地味な服、目立たない服ばかり着るのはすごくもったいないですね。

湯山 そう、痩せて見えるから黒を着るとか逆効果だと思う。バービーとか柳原可奈子とか渡辺直美とか、ぽっちゃりしてカッコいい女性が登場してきたから、世の中だんだん変わってきたかなという感じが最近するんだけどね。

バービー 太っている人もそうなんですけれど、痩せている人でも自信のない人がやっぱり多くて、みんなもっと堂々としていいんじゃないかと思うんですよ。常に「私なんてダメだから」という態度の人を見ると、外から誰かに励まされなきゃ立ってられないの?とか思っちゃう。心の持ち方と体型、関係ないんじゃないかって。

湯山 でもさ、自己管理ができていない部分や、自分に甘い部分が私にはあるわけで、卑下することなく堂々と生きればいいんだけど、厚かましくなったときが危険ね。男性の見る目も変わってきて、痩せてなくても若くなくてもモテる時代ですよ。そこで自分を甘やかしちゃいけない。ファッションもキャラクターも、どこか他人に対するサービスの部分がないと。厳しい世間の目があることは忘れちゃダメ。

【後編】はこちら >>
【後編】バービー×湯山玲子対談「太る痩せるより大切なことは幸せに生きるかどうかよ!」

『クロワッサン』952号より

●バービーさん タレント/タレント。1984年1月26日生まれ。ハジメさんとお笑いコンビ「フォーリンラブ」を組む。最近チャレンジしたダイエット法は、杉本彩さんの生活スタイルを真似る「杉本彩ダイエット」。

●湯山玲子さん 著述家/1960年生まれ。『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(幻冬舎、共著)、『男をこじらせる前に男がリアルにツラい時代の処方箋』(KADOKAWA)など著書多数。

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