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東洋医学の観点からひもとく免疫力と夏バテの関係。

健康に不可欠な免疫力の維持。特に体力が落ちやすい夏は、免疫力を上げていきたいもの。
未病対策に注視する、東洋医学の観点からひもときます。

撮影・黒川ひろみ 構成&文・板倉みきこ

暑さで疲れてしまう前に……。 免疫力と夏バテの関係を知る。

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ウイルス感染予防で免疫力の大切さを実感したけれど、その働きや維持法については案外わかっていないもの。そこで今回は、加齢とともに落ちるともいわれる免疫力の正体を、西洋と東洋医学に精通する識者が解説。おすすめの体調管理法も実践し、酷暑を乗り切ろう。

そもそも免疫とは、どういうものなんでしょう。

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自分自身を守るために備わった防御システムです。

免疫とは、体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体(異物)を見つけ出し、体から取り除くシステムのこと。

「自分自身を守るために自然に備わった防御システムですが、東洋医学では“気”という概念で免疫を捉えます。簡単にいえば、生命活動に必要なエネルギーの“気”を保っていれば、“外邪(がいじゃ)”(ウイルスや細菌など)に侵入されても体を壊すことはない、という考え。つまり、“気”が弱まれば免疫力も弱まるのです」(医師の陣内厚子さん)

東洋医学では、体質改善や気の充実のためには、“脾気(ひき)”(胃腸機能)が要と捉えるが、西洋医学で最近注目の“腸管免疫”の理論と通じるところがある。

免疫細胞の約7割は腸に生息し、体を守っています。近年、腸内細菌と免疫細胞は相互に影響し合う関係にあることがわかり、免疫力の維持には腸内環境を整えることが必要だとする考えが、一般的になってきました」(医師の陣内厚子さん)

日本特有の季節の変化は、免疫力にどんな影響を及ぼすの?

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近年の四季変動の過酷さが、免疫力低下に直結。

季節や年齢、住んでいる場所の特性に影響を受け、体は常に変化するものと捉えるのは、東洋医学だけでなくインド発祥のアーユルヴェーダも同様。

「暑さが厳しい夏の体には、ほてりを冷ますような性質のエネルギーを求めるように、私たちの心身が必要とするエネルギーは季節によって異なります。免疫力の低下は、エネルギーバランスの乱れが招くもの。一年を通して暑さが続くインドと違い、四季のある日本では、それぞれの季節に合わせてエネルギーバランスを整え、免疫力の維持を心がける必要があるでしょう」(呼吸ヨガ(R)創始者の平賀きょう子さん)

ただ、近年の日本の四季変動は今まで以上に過酷で、心身への影響も増大。

「季節の変わり目の気温や湿度の変動が大きく、体温調節を司る自律神経にとても大きなストレスを与え、自律神経が乱れて免疫力が落ちる、ということにつながっています」(医師の陣内厚子さん)

東洋医学の観点からひもとく免疫力と夏バテの関係。

夏、免疫力を上げるにはどうしたらいい?

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消化力の維持を最優先に心がけて過ごしましょう。

高温多湿になる日本の夏は、アーユルヴェーダでは火と水の性質を持つ“ピッタ”が蓄積されやすく、心身の調子にもその影響が及ぶ、とみる。

「“ピッタ”は消化力に関係があるので、“ピッタ”の蓄積で消化力や体力が落ちやすくなります。当然免疫力も下がるので、夏は消化力維持を最優先に心がけて過ごしてほしいです」(呼吸ヨガ(R)創始者の平賀きょう子さん)

東洋医学では、気候変化を心身に悪影響を及ぼす“外邪”とみなすことも。

「夏は発汗異常や脱力感を招く“暑邪(しょじゃ)”、むくみの原因となる“湿邪(しつじゃ)”が問題になります。症状を改善するには、食事の内容、睡眠や休息の見直しなど、“外邪”に打ち勝てるよう“気”を補う工夫(養生)を生活に取り入れていくことが必要です。
そもそも夏バテの症状が出ているのは、すでに自律神経を乱している状態です。日々の生活の中でちょっとした工夫を重ね、気を補うことが免疫力の維持につながります」(医師の陣内厚子さん)

不調を抱えやすい更年期世代は、この季節どう過ごすべき?

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些細な刺激に影響を受けやすい心身状態だと知る。

更年期には急激な女性ホルモンの変動が起こり、自律神経系は乱れがち。

「普段より暑さ、湿気、寒暖差など、外からの刺激にも反応しやすく、自律神経の乱れに拍車がかかり、体調不良や免疫力低下を招きます。更年期の様様な心身症状が現れている期間は、些細な外界からの刺激で体調を崩しやすいので、無理をせず自分自身を大事にケアしてほしいです」(医師の陣内厚子さん)

また、心身は年齢、季節、時間を司るエネルギーの影響で変化し続けるものでもある、と理解することも大事。

「更年期は、自分の心身を主に司るエネルギーが“ピッタ”から“ヴァータ”(風)に切り替わる時。その変化に対する乱れもあるし、夏の“ピッタ”のエネルギー上昇の影響も受けやすい状況。日によって体調に波もあるでしょう。その都度自分の状態を観察し、“今”の自分に必要なことを理解して、柔軟に対応していきましょう」(呼吸ヨガ(R)創始者の平賀きょう子さん)

  • 陣内厚子 さん (じんない・あつこ)

    医師

    東京女子医科大学付属東洋医学研究所にて漢方内科外来を担当。更年期症状に悩む患者も多く診察・治療している。

  • 平賀きょう子 さん (ひらが・きょうこ)

    呼吸ヨガ(R)創始者

    『studio SHANTI』代表。日常に実践できるアーユルヴェーダのメソッドを学ぶセミナーを不定期開催。

『クロワッサン』1095号より

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