●免疫細胞の司令塔に働きかける「プラズマ乳酸菌」ってなに?
コロナ禍を経てより重要視されるようになった免疫力。その免疫に関するフィールドに彗星のごとく現れたキーワードが、「プラズマ乳酸菌」。
テレビや雑誌で見聞きはするものの、その正体とは一体どのようなものなのか? 正確に答えられる人はおそらく少数派。そこで、分かりやすい医学解説で知られる医師の石原新菜さんに改めて聞いてみることに。
「一般的な乳酸菌は一部の免疫細胞のみに働きかけて免疫の下支えをします。これに対してプラズマ乳酸菌はプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)という免疫の司令塔に働きかけて、免疫細胞全体を活性化します。ここが普通の乳酸菌と違うところです」
免疫細胞にはさまざまな種類があり、互いに情報をやりとりしている。その代表格がリンパ球。主なものに外敵に対する抗体を作るB細胞、外敵に侵された細胞を殺すキラーT細胞、他の免疫細胞の働きを助けるヘルパーT細胞、そして異常細胞を攻撃するNK細胞がある。これらの免疫細胞はpDCの指令によってそれぞれの能力を発揮する仕組み。プラズマ乳酸菌は文字どおり免疫のボス的存在のpDCを活性化させるというわけ。
「これまでは、乳酸菌にpDCを活性化させることはできないと考えられていましたが、膨大な菌株バンクに保管された菌のひとつひとつを調べていったところ、2010年に世界で初めてpDCを直接活性化させる乳酸菌が発見されました。pDCを活性化することからプラズマ乳酸菌と名付けられたと聞いています」
いってみればこれは従来の常識を覆し、乳酸菌の新たな可能性を切り開いた大発見。免疫を支えるニュースター、プラズマ乳酸菌が夏のカラダの力強い味方になってくれることは間違いなさそう。