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断食道場での体験から完全に薄味に。佐々木俊尚さん流、実践減塩生活。

減塩を実践して長いジャーナリストの佐々木俊尚さん。
減塩のコツと工夫を聞きました。
  • 写真提供・佐々木俊尚 文・斎藤理子

関西出身なので、もともと薄味が好きだったという佐々木俊尚さん。断食道場で断食を体験して以来、味覚が鋭くなり少量の塩味で満足できるようになったという。

「断食をすると味覚が鋭敏になり、濃い味でなくてもなんでも美味しく食べられるんです。それが習慣になり、家の料理も調味料はほんの少し。素材の旨味を生かしたり、食感を際立たせる料理が多いですね」

料理の際、基本的に下味はつけない。下味をつけるとどうしても塩分過多になる、と佐々木さん。お酒に合わせるには濃い味で、と思いがちだが、お酒はそれ自体の味を楽しむもの。特に日本酒には、薄味がいいそう。

「塩は最後にパッとふる程度で充分美味しくできます。下味をつけるのは、肉の粘りを出す必要があるハンバーグだけです。それ以外は、薬味、スパイス、ハーブをうまく使って塩を使いすぎないようにしています。トマトのイノシン酸や、山椒の痺れなど、素材が持つ旨味や特徴をうまく活用するのがコツです」

塩を使う時はひとつまみが鉄則。醤油はひと回しで。出汁入りの調味料は美味しくなりすぎてついたくさん食べてしまうが、たくさん食べれば塩分も多くとることになるのでNG。

中華料理ならオイスターソース、豆板醤、甜麺醤といった基本の調味料があればなんでも作れるから、塩分が多い市販の合わせ調味料は使わない。味付けを複雑にしないことも、減塩につながるそう。

「いろいろな料理に、ニンニクと生姜を使いますね。味に深みが出て塩に頼らなくて済むんです。味噌汁や清まし汁は、昆布と鰹節でしっかりと出汁をとる。そうすると塩や味噌は少しで済みます。調味料を食べるのではなく、素材自体の味を味わうようにすれば、自然と塩分摂取は減っていきます」

そんな佐々木さんの、普段の料理を見せてもらった。

〈佐々木俊尚さん流 減塩のコツ〉

■ 塩は3本の指でひとつまみだけ。
■ 塩分の多い合わせ調味料は使わない。
■ 食感を際立たせる。
■ 香りや焦げ目をプラス。
■ 日本酒のつまみこそ低塩で。

セミドライトマトを活用。

●自家製ドライトマトのパスタ
オーブンで作る自家製セミドライトマトを使ったシンプルなパスタ。「パスタを茹でる時、塩を入れません。家庭だったらそれでも味に大差はないので。トマトとパスタを和えてから、ほんの少々塩をふって盛り付けます。セミドライにして凝縮したトマトの旨味だけで充分美味しい」

カレーもトマト味をきかせて。

●オートミールのカレー
市販のルーは塩分が多いので使わないという佐々木さん。「ニンニク、生姜、玉葱、肉を炒めてトマト缶を加え、カレー粉を入れるだけ。トマト缶の旨味とトロトロ感でちゃんとカレーになります」。水を入れてラップし、電子レンジにかけたオートミールで。ご飯より低糖質でヘルシー。

香味野菜で味を決める簡単冷や汁。

●冷や汁
塩分が多い干物は使わずに作る冷や汁。胡麻をすり、少量の味噌と鰹節を入れたら水を加える。塩揉みきゅうりとみじん切りのニラと大葉を加えて完成。「ニラがアクセントになるので味噌をたくさん入れなくてもいい味に。干物は使わないけど出汁は出る、減塩冷や汁です」

生山椒を活用して炒め物。

●牛肉クレソンさやえんどうの山椒炒め
牛肉と相性のよいクレソンの苦味と山椒の痺れで、塩味がなくても美味しい炒め物に。「山椒は2〜3分茹でて軽く塩漬けにしておきます。塩を使うのはそこだけ。味付けはオイスターソース少々のみ。なるべく香りの強い野菜を使うのがコツです」

冷やし中華は、あえ麺方式で。

●油そば風冷やし中華
「市販のタレは塩味が強くて量も多く麺がびしゃびしゃになってしまうのが嫌なので、中華麺を自家製のタレであえます」。タレは醤油4、酢1、みりん1、胡麻油1(全て大さじ)を混ぜて。柚子胡椒和えイカ素麺、ミョウガ、大葉、炒り胡麻をまぶしたきゅうりの塩揉み、トマトをトッピングに。

香りだけで満足の「わさび飯」。

「店で食べてすごく美味しかったので、自宅でも作るようになりました。使うのは本わさびではなくホースラディッシュ。ツーンとした刺激がたまりません」。ホースラディッシュをすりおろしてご飯の上にたっぷりのせ、醤油をひとたらし。もみ海苔をのせて完成という、シンプルな料理ながら、箸が止まらないそう。

トロトロの食感を楽しむ。

●ズッキーニとレタスのグリル
ズッキーニをオリーブオイルでよく焼いたら取り出し、同じフライパンでレタスをさっと焼く。皿に盛ってから、塩をぱらり。黒胡椒はたっぷり。「ズッキーニのトロトロが美味しいんです。味付けはシンプルに。下味はつけず最後に塩をふれば、塩味をより強く感じることができます」

カリカリ食感のフライド里芋。

●里芋のフライドポテト
じゃが芋よりも里芋のほうが美味しいフライドポテトになる、と佐々木さん。「じゃが芋はすぐにふにゃっとなるけど、里芋だと長くカリッとしているんです。里芋は電子レンジにかけ熱々のうちに皮を剥き拍子木切りに。片栗粉をまぶしてカリカリになるまで揚げます。塩は最後にぱらっと」

だしの風味が豊かな蕎麦つゆ。

●梅きゅうり蕎麦
蕎麦の柔らかな食感に、何かパリッとした食感のものを合わせたくて、しっかり塩揉みしたきゅうりと梅干しを一緒にのせたら大正解。
「麺つゆも自家製。醤油、みりん各大さじ1、水4カップに昆布と鰹節を入れ5分くらい煮出して濾します。出汁の風味がしっかりきいた麺つゆが簡単にできますよ」
梅きゅうり蕎麦x蕎麦の柔らかな食感に、何かパリッとした食感のものを合わせたくて、しっかり塩揉みしたきゅうりと梅干しを一緒にのせたら大正解。
「麺つゆも自家製。醤油、みりん各大さじ1、水4カップに昆布と鰹節を入れ5分くらい煮出して濾します。出汁の風味がしっかりきいた麺つゆが簡単にできますよ」

旨味充分、オートミール炒飯。

●オートミールの炒飯
1人分1カップのオートミールに水1/2カップを入れて、ラップをせずに電子レンジで1分。それをソーセージと卵と炒めて最後にレタスをちぎってさっと混ぜる。「味付けはレタスを入れる直前にひとつまみ、塩をふるだけです。それだけで低糖質で減塩の美味しい炒飯ができます」

下味なしでコンフィを作る。

●鶏肉のコンフィ
「ル・クルーゼに鶏肉、ニンニク、ローズマリーを入れてひたひたのオリーブオイルを加え、火にかけます。下味をつけるイメージですが、実は不要。ふつふつとしてきたら弱火で1時間煮てコンフィの完成。食べる直前にフライパンで狐色になるまで焼きますが、その時に初めて塩を少々ふります」

佐々木俊尚

佐々木俊尚 さん (ささき・としなお)

作家、ジャーナリスト

忙しい取材・執筆活動の日々の中、自宅での食事はすべて自分で作る。『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)ほか著書多数。

『クロワッサン』1076号より

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