からだ

気象病、熱中症、気分の落ち込み、寒暖差疲労。 夏の4大不調にご用心!

  • 撮影・玉置順子(t.cube) スタイリング・白男川清美  ヘア&メイク・レイナ モデル・田村るいこ イラストレーション・松栄舞子 文・小沢緑子 撮影協力・UTUWA

【夏の不調をリセットするためのケア法。】

気分転換の時間を確保。

「更年期以降、不調を防ぐためには心のケアも積極的に。在宅ワークが増えてオンとオフが曖昧になりストレスを感じていたら、まず仕事と日常生活をしっかり区切りましょう」(木村さん)

さらに、心を休めるために30分でも1時間でも外に出る時間を作ること。

「散歩する、カフェや図書館に行くなど、外に出て場所を変えるだけでも充分気分転換に。時間がとれたら日帰り旅行、ホテルステイなど、小さな非日常を楽しむのも心の栄養になります」

不調をためない日々のリセット。

「人の体も機械と同じでメンテナンスが必要です。気象病、寒暖差疲労など、自律神経が関与する不調も日々ケアしてその働きが乱れないようにリセットするのは大切」(久手堅さん)

前述したように気象病は耳の奥にある内耳が気圧の変化で刺激されることで起こるが、「日頃から耳周りの筋肉の緊張をほぐす『耳ストレッチ』を行うと予防することができます」。

また、姿勢の悪さからくる骨格のゆがみも自律神経を乱す原因。

「自律神経の中枢といわれる頚椎(脊椎の首の部分)をストレッチできるのが『タオル首のばし』。数分で行えるので仕事の合間などに休憩も兼ねて続けるとめまいや頭痛、肩こりや首こりなどが軽減します」

入浴も、日々のよいリセット法。

「本来夏は体内のエネルギーを外へ発散させて巡りをよくする季節なのですが、冷房が欠かせない現代の夏は逆に体が冷えて巡りが滞りがち。暑い時季は入浴をシャワーだけで済ませがちですが、週2回ほどはぬるめの湯に浸かって適度に汗をかきながら巡りをよくしましょう」(木村さん)

衣類の工夫で温度調整を。

外は暑いのに室内は寒いなど、室内外の温度差が激しい夏。

「気温差で体を余計酷使しないためにも、通気性がよい素材などオールシーズン着られる上着を用意し、朝晩や冷房で寒いときは羽織る。首元は大きな血管があり冷えやすいのでスカーフを巻くのもいい方法です」(木村さん)

「身につける下着によっても体温調整に差が出ます。夏は速乾性の高いサラッとした肌触りの高機能下着の利用も効果的です」(久手堅さん)

 エアコンを適切に使用する。

「東洋医学では、エアコンの風は“風邪(ふうじゃ)”となって体に害を及ぼす場合があるとされていますが、夏は命に関わるので使用は必須。風を体に直接当てないように注意を」(木村さん)

熱帯夜も珍しくない今は、就寝時もエアコンを上手に利用。

「一晩中かけておくとやはり体が冷えるので、あらかじめ部屋を冷やして就寝直前に切るか、タイマーの利用を。あるいは隣室のエアコンをかけて扉を開け放しておくと冷えすぎません」

積極的に汗をかいて暑熱順化。

「夏バテ防止に大事なことは『しっかりと汗をかく』こと。また同じ汗でもベタつく汗だと体温が下がらず熱中症にもなりやすいです。いわゆる良い汗といわれる、蒸発しやすく“サラサラした汗”をかくために1〜2週間かけて体を暑さに慣らす『暑熱順化』を今からでも行ってください」(久手堅さん)

一番のおすすめは軽い運動。

「涼しい時間帯に少し汗ばむ程度のウォーキングを15分くらいでも。続けていくうちに徐々に体が整っていきます」

水分補給を欠かさずに。

 夏は特に脱水症状にならないようにこまめに水分を摂るのが基本だが、「体に熱がこもると喉は冷たいものを欲しがち。ですが胃は冷たいものが苦手で摂りすぎると消化や吸収力が低下したり、体内に余分な水分がたまります。最初の1杯だけ冷たいものにして、2杯目以降は氷抜きや常温の飲み物にすると胃腸バテが防げます」(木村さん)。

むくみがちなときは、「利水作用のある夏野菜を積極的に。塩を振れば汗によって失われた塩分も補給できます」。

タンパク質や発酵食品をしっかり。

「あっさりした食事を摂りがちですが、栄養が偏ったり不足すると夏バテどころか、疲れやだるさを秋冬まで引きずることに。肉や魚のたんぱく質を意識的に摂りましょう」(木村さん)
“胃腸活”をするのもおすすめ。

「胃脳相関というように、胃と脳はつながっていて、胃腸の調子が悪いと自律神経も乱れがち。不調を感じる人は胃の働きをよくしてくれるLG21乳酸菌入りヨーグルトなど発酵食品を日常的に取り入れてみて」(久手堅さん)

【首や耳をほぐして毎日リセット!】

【タオル首のばし】

折りたたんだタオルの両端を持ち、後頭部と首の境目に引っ掛ける。
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斜め上を向き、タオルを上に引っ張る。タオルと首が引き合うように首は下へ向けて力を込める。
 ▼

斜め下を向き、タオルを前に引っ張る。首はタオルの圧に逆らって後ろに引っ張る。

【耳ストレッチ】

両耳を前後に大きく回して、耳周りの筋肉をほぐす。
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左右それぞれ耳上と耳たぶを斜めに引っ張り合い、5〜10秒キープ。上下を入れ替え同様に行う。
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両耳たぶの少し上を水平に引っ張り合い、5〜10秒キープ。

木村容子

木村容子 さん (きむら・ようこ)

東京女子医科大学附属 東洋医学研究所 所長・教授

東洋医学をベースに、西洋医学も取り入れた漢方診療を行う。著書に『女50歳からの「変調」を感じたら読む本 アフター更年期の漢方医学』など。

久手堅 司

久手堅 司 さん (くでけん・つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック 院長

自律神経失調症、気象病・天気病、寒暖差疲労などの専門外来を設け診療を行う。新刊は監修本『毎日がラクになる! 自律神経が整う本』。

『クロワッサン』1073号より

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