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胃を守り、美肌効果も。大根の体に効かせる食べ方、選び方、調理のコツ。

野菜ごとの栄養素の特徴や効率のいい食べ方を知り、よりよい野菜生活で若さと健康を保ちましょう。
  • 野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理

【消化酵素】が【胃】を休め、【ビタミンC】には【美肌効果】も。

【栄養豊富な旬の時期】11〜3月
葉ごと買えるのは冬の時期。夏に出回る北海道産などは葉が切り落とされている。

【体に効く選び方】葉付きでひげ根がある
葉付きで流通するのは鮮度が保てる近くで採れたもの。葉には栄養成分が多いので一番おすすめ。皮にハリがあり、ひげ根がついた重みのあるものを。

【体に効く食べ方】生で消化酵素を摂る
大根の一番の魅力はでんぷんやたんぱく質を消化する酵素の存在。酵素は熱に弱く、水にも溶け出しやすいので、生食、なかでも大根おろしが一番。サラダにしてもいい。

【栄養を守る保存方法】葉と根を落として
まるごと買ったら、すぐに葉と根を切り落とし、栄養素の損失を防ぐ。新聞紙などに包み、切ったらラップで覆って野菜室へ。

【重さの目安 1本約1kg(根の部分)】

[注目成分]
アミラーゼ(ジアスターゼ)
イソチオシアネート
ビタミンC(根)
β-カロテン(葉)
カルシウム(葉)

[エネルギー]
18kcal/100g(根の部分)

[食物繊維]
1.4g/100g(根の部分)

(Topics 1)形も色もいろいろ。 カラフルでサラダ野菜にも

品種が多く、地域によって独特のものがある。桜島大根のように丸いものも。栄養的にはほぼ同じ。皮が赤い品種や黒い品種、内部にも赤い部分があるものなど、カラフルな大根が流通し、人気がある。色付きの大根は色素成分が健康効果をアップ。

(Topics 2)皮をむくかむかずに食べるか

根菜類は皮やその下に栄養素が多いが、食感的にはむいたほうがおいしいことも。せん切りなどで繊細な歯ざわりを味わうなら、皮はむくほうがおいしい。潔く皮をむき、別にきんぴらなどに活用するのも手。大根おろしならそのままおろすのが正解。

消化酵素が胃を守り、葉にはβ-カロテンが。

大根はほとんどが水分なので低カロリー。根には炭水化物の消化を助けるアミラーゼ(ジアスターゼ)という消化酵素がたっぷりで、胃腸の負担を軽くしてくれます。たんぱく質分解酵素のプロテアーゼも含まれます。焼き魚や刺し身に大根を添えるのは理にかなっているわけです。辛味のもとイソチオシアネートは抗酸化成分。根の先端に近い部分に豊富で免疫力強化やがん予防にも役立ちます。

アミラーゼやビタミンCは水に溶けやすく熱にも弱いのが弱点で、イソチオシアネートは揮発性です。生を大根おろしやせん切りにし、切ったら早めに食べましょう。ビタミンCは皮にも多いので、皮ごとおろすのがおすすめ。加熱しても食物繊維やミネラルは得られるので、煮物や汁物もいいでしょう。

大根の葉も栄養成分が豊富です。β-カロテン、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、マグネシウムが多く、捨てずに食べると骨力アップに役立ちます。

酵素で消化を助ける生食、葉からβ-カロテンも。

大根の酵素は細胞を壊すせん切りサラダで。量が食べられるのが魅力です。青背魚の代表のサーディン(いわし)からはEPA、DHAも摂れます。葉付き大根を見つけたら新鮮なうちに炒めましょう。β-カロテンとビタミンCで、風邪知らずの常備菜に。

大根とすだち、オイルサーディンのサラダ

【材料(2人分)】
大根 …… 250g
すだち …… 1個
オイルサーディン缶 …… 1缶
A  すだちのしぼり汁 …… 1個分
  オリーブ油 …… 小さじ2
  酢 …… 小さじ1
  塩 …… 小さじ1/4
  胡椒 …… 少々

【作り方】
1.
大根は4〜5cm長さのせん切りにし、すだちは輪切り、サーディンは缶汁をきる。
2.大根、すだち、Aを混ぜてサーディンを加え、さっくり混ぜる。

大根葉と桜えびの炒め物

\大根葉を油炒め!β-カロテンの吸収率◎。/

【材料(2人分)】
大根の葉 …… 200g
桜えび …… 大さじ1
いり白ごま …… 小さじ2
ごま油 …… 小さじ2
A  みりん …… 小さじ2
  醤油 …… 小さじ1/2
  塩 …… 小さじ1/5

【作り方】
1.
大根の葉はさっと湯を通して硬めにゆで、細かく刻む。桜えびは粗く刻む。 
2.フライパンにごま油を熱して大根の葉を炒め、桜えびを加えてさっと炒める。Aを加えて味をととのえ、ごまを加えて手早く混ぜる。

名取貴光

名取貴光 さん

食品成分研究者 医科学博士

山梨学院大学健康栄養学部教授、副学部長。山梨大学大学院医学工学総合教育部人間環境医工学専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院医学系研究科研究員を経て現職。専門は食品科学、神経科学。日本農芸化学会、日本生化学会などに所属し、生体や食品を構成している成分が体の中でどのような働きをしているか、脳神経系統を中心に研究を続けている。

岩﨑啓子

岩﨑啓子 さん

管理栄養士 料理家

聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立。書籍や雑誌、メニュー開発などで活躍。栄養バランスを考えた、やさしく飽きのこない味で、簡単に作れる毎日の家庭料理を多数提案している。数十冊の料理書をはじめ、ダイエットや食事療法の頼れる著書も多数。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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