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β-カロテンで抗酸化、パプリカの体に効かせる食べ方や選び方。

野菜ごとの栄養素の特徴や効率のいい食べ方を知り、よりよい野菜生活で若さと健康を保ちましょう。食品成分研究者で医科学博士の名取貴光さん、管理栄養士の岩崎啓子さんに教わります。
  • 野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理

(実を食べる)パプリカ[ ナス科 トウガラシ属 ]

【β-カロテン】で【抗酸化】、【ルテイン】で【網膜】を守る。

【栄養豊富な旬の時期】6〜8月
夏は各地で収穫したものが出回り、冬はニュージーランドなどから輸入。

【体に効く選び方】軸の周りが高いもの
軸がへこみ、周りの肩の部分がしっかり盛り上がっているものは、中の種がしっかりついていて味わいがいい。皮にしわや傷がないものを選ぶ。色素成分は赤が一番多い。

【体に効く食べ方】油と一緒に食べたい
β-カロテンを有効に摂るには、油と一緒に調理するといい。生でおいしく食べられるが、比較的熱に強いので、加熱調理してたっぷり食べるのもいい方法。

【栄養を守る保存方法】野菜保存袋で野菜室へ
まるのままポリ袋に入れて野菜室で保存。加熱調理するなら細切りにしたものを冷凍してもいい。

【重さの目安 1個約200g】

[注目成分]
β-カロテン
カプサンチン
ビタミンC
ビタミンE
カリウム

[エネルギー]
30kcal/100g

[食物繊維]
1.6g/100g
(赤パプリカの場合)

(Topics 1)赤、オレンジ、黄色。 彩りが楽しめる役立ち食材

パプリカはさまざまな色のものが出回っている。赤色のものはカプサンチンが他の色のものより多いけれど、その差はわずか。黄色やオレンジにもカロテンは豊富で、食卓をカラフルに彩り、野菜食を楽しくしてくれるので、好みで選びたい。

(Topics 2)パプリカジュースを試して欲しい。カラフルで美味!

パプリカは加熱調理でも栄養素を逃さないが、生、しかもジュースがとびきりおいしい野菜。レモンやオレンジなどの柑橘類と組み合わせ、甘味や香りを生かしたスムージーにすると、手軽にムダなく栄養素が摂れるので朝の習慣にしても。

カロテノイドとルテインが不調を改善。

ピーマンの仲間であるパプリカは、栄養素もピーマンとほぼ同じで、独特の香り成分ピラジンには血液をサラサラにする効果があり、血栓ができるのを防いだり、脳卒中や心筋梗塞など血管のつまりが原因の病気を防ぐ働きがあります。赤いパプリカのカロテノイドはβ-カロテンやカプサンチンで、高い抗酸化効果が望めます。

ビタミンC、ビタミンEなども豊富で、免疫力アップ、皮膚や粘膜の健康を守る働きも充実しています。ピーマンやパプリカに含まれるビタミンCは加熱による損失が少ないので、調理の幅が広いのが特徴です。

パプリカで特筆すべきがルテイン。カロテンの仲間の黄色い色素成分で、網膜を守る働きがあり、目の病気を予防や改善します。塩分の排出を促すカリウムもしっかり摂れます。

油と一緒に摂るのがポイント。ごまやナッツのように脂質の多い食材と組み合わせてもよく、加熱すると量が食べられます。

カプサンチ豊富な赤を主菜やあえ物に使いたい。

パプリカの赤い色素はカロテノイドの中でも抗酸化力が高いカプサンチンという成分。赤を選べば、よりたっぷりと摂れます。油と一緒に摂ると吸収が良くなるので、肉と組み合わせたり、ナッツやごまなどの種実の脂質を活用するのもいい方法です。

パプリカの肉詰め焼き

【材料(2人分)】
パプリカ …… 小1個(140g)
合いびき肉 …… 200g
たまねぎ …… 1/6個(35g)
小麦粉 …… 少々
粉チーズ …… 小さじ2
蒸しもち麦(市販品) …… 50g
バター …… 小さじ1
塩 …… 小さじ1/5
胡椒、ナツメグ… 各少々
A トマトケチャップ、ウスターソース…… 各小さじ2

【作り方】
1.
たまねぎはみじん切りにして耐熱容器に入れ、バターをのせてラップをかけずに電子レンジで1分加熱して冷ます。パプリカは縦半分に切って種をとり、内側に薄く小麦粉を振る。
2.ひき肉に塩、胡椒、ナツメグを粘りが出るまで混ぜ、冷めたたまねぎ、もち麦、チーズを加えて練り混ぜ、パプリカにはみ出すように詰める。
3.220度に熱したオーブンで20分ほど焼いて火を通す。Aを合わせたソースをかける。

●もち麦

もち麦は食物繊維が多く、血糖値を上がりにくくする。次の食事の血糖値もコントロールするセカンドミール効果があるので、つなぎとして活用。かさ増し食材としても役立つ。

焼きパプリカの白あえ

\豆腐のたんぱく質とごまの脂質でサポート。/

【材料(2人分)】
パプリカ(赤) …… 小1個(140g)
絹ごし豆腐 …… 1/3丁(100g)
A 練り白ごま …… 小さじ1
   砂糖 …… 小さじ1/4
   塩 …… 小さじ1/5

【作り方】
1.
パプリカは縦半分に切って種をとり、魚焼きグリルで焼いて焦げたところは皮をむき、食べやすく切る。
2.豆腐はキッチンペーパーに包んで水気をきり、ボウルに入れてつぶす。Aを加えてよく混ぜ、あえ衣を作ってパプリカをあえる。

名取貴光

名取貴光 さん

食品成分研究者 医科学博士

山梨学院大学健康栄養学部教授、副学部長。山梨大学大学院医学工学総合教育部人間環境医工学専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院医学系研究科研究員を経て現職。専門は食品科学、神経科学。日本農芸化学会、日本生化学会などに所属し、生体や食品を構成している成分が体の中でどのような働きをしているか、脳神経系統を中心に研究を続けている。

岩﨑啓子

岩﨑啓子 さん

管理栄養士 料理家

聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立。書籍や雑誌、メニュー開発などで活躍。栄養バランスを考えた、やさしく飽きのこない味で、簡単に作れる毎日の家庭料理を多数提案している。数十冊の料理書をはじめ、ダイエットや食事療法の頼れる著書も多数。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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