歩幅が広い人、歩くスピードが速い人はサルコペニアやロコモティブシンドロームのリスクが低く、フレイルを経由したその先の介護状態に陥りにくい。
歩幅を広くとり、颯爽と歩くためには筋肉のパワーや機能性が高く、筋肉のバランスが良好であることが条件。なので、それはすんなり納得できる話。
でも、そればかりではありません。歩幅を広くとって歩くことは脳の健康にもひと役買っているのではないか。最近ではそんな研究が報告されています。
すでに、65歳以上の高齢者で、歩幅が広く速足で歩いている人は認知症の可能性が低く、歩幅が狭いトボトボ歩きの人では認知症の可能性が疑われるという、はっきりとした指標があります。
トボトボ歩きの目安は秒速にして0.8m以下。青信号の間に横断歩道を渡りきれないレベルのかなり遅いスピードです。このレベルの歩行スピードになると、肉体的にはサルコペニアと判断されるのはもちろん、将来はカラダだけでなく、脳の機能が衰えるリスクが指摘されているのです。
ちなみに、横断歩道は秒速1mで渡れるように設定されていることが多いので、以前は青信号で渡りきれていたのが、渡りきれなくなってきたというときは要注意です。
歩行と認知機能に関する研究は世界中のさまざまな研究機関で行われていて、驚くような結果も発表されています。
たとえば、アメリカのマサチューセッツ州での2400人の男女を対象にした研究では、歩行のスピードが遅い人は速い人に比べて認知症になるリスクが約1.5倍高くなるという報告がされています。
また、同じくアメリカのピッツバーグ大学が行った研究では、1日40分、週3回ウォーキングをした人は、ストレッチだけをした人より記憶をつかさどる脳の海馬という部位の容量が明らかに大きくなることがわかりました。