からだ

日常の雑な動きを今すぐやめて、正しい動きで腰痛予防。

立つ、座る、かがむ、持つ……。これら日常の動作にも意識づけができれば、腰に余計な負担をかけることがなくなります。整形外科医の平尾雄二郎さんに教わります。
  • 撮影/角戸菜摘 文/石飛カノ モデル/原 歩美 ヘアメイク/村田真弓 スタイリング/高島聖子

ヒトが最大限に力を発揮するときには、どんな姿勢をとり、どのようなカラダの動かし方をすればよいでしょうか。そのヒントがスクワット動作に隠されています。

「スクワットのときの正しい腰の落とし方は、股関節を手前に引き込むように曲げる動作、膝を深く曲げる動作、そして胸椎を伸展して胸を張る動作を同時に行うやり方。このようにして腰を落とした姿勢が、一番力を発揮できるパワーポジション。スクワットで腰痛しらずの正しいカラダの使い方を再認識できます」

お相撲の力士の立ち合いの瞬間も、テニス選手が相手サーブに構えるのも、このポジション。スクワットは、ハムストリングスなど、脚の筋肉を鍛えるためにも有効。一石二鳥のエクササイズです。

スクワットで腰に負担をかけずに力を発揮する。

肩幅よりやや広めに両足を開いて立つ。つま先は正面に。両手を組み、太ももと床が平行になるまで腰をゆっくり落としていく。椅子にゆっくり座るようなイメージで。

(A)組んだ両手は胸の前で固定

(B)両足の幅は肩幅よりやや広めに

(C)腰を反らせて背すじをまっすぐ

(D)膝の角度は90度が目安

(E)膝はつま先より前に出さない

腰を落としたときに膝が内側に入ってしまう。お尻の筋肉やハムストリングスが使えていない。

背中が丸まってしまうと胸椎が伸びず、猫背姿勢に。膝を痛める原因に。

日常生活動作でも、正しい動きを習慣にして腰痛予防。

正しい動作を理解する。これは、ふだんの生活の中のちょっとした動作についても同様です。

「大人になると、いつのまにか機能的なカラダの使い方を忘れてしまいます。たとえば、重い荷物を持つときに、わざわざ腰に負担をかけるような動きをして腰痛を招いてしまうこともあります。日常生活で正しいカラダの動かし方を意識して、腰に余計な負担をかけない習慣づけをしましょう」

【 洗顔 】足を前後に開き、腰椎を前弯させるのがコツ。

腰痛持ちの人が顔を洗うときは前の脚の膝を曲げ、両足を前後に開いた姿勢で。この姿勢をとることで腰椎が前弯した状態をキープできるので、腰に負担がかからずにすむ。

(A)背すじをやや反らせた姿勢で。

膝を伸ばして洗顔をすると、背中が丸まり腰に負担が。

膝を曲げても両足を揃えたままでは、やはり猫背姿勢に。

【 荷物を持つ 】荷物に近づき、腰を反らせたまま持ち上げる。

床に置かれた重い荷物を持つときは、できるだけ荷物に近づき、しゃがんでから荷物を持ってゆっくりと持ち上げる。やはり腰椎前弯姿勢を終始キープする。

しゃがんで荷物を持つときに荷物とカラダの位置が遠い。

そのまま持ち上げると腰椎が丸まって腰に負担がかかる。

【 起き上がる 】ガバッと起き上がらず、手順を踏んで。

仰向けで寝た状態から、まず真横にごろりと転がって、両手を床(ベッド)につけて、カラダを支えながらゆっくりと上半身を起こす。腰への負担が限りなく小さくてすむ。

目が覚めた途端、仰向け姿勢からガバッと起き上がると腰に大きな負担が。

【 立ち上がる 】ヨッコイショ立ちは禁物。真上に立ち上がる。

立ち上がるときは、まず椅子の座面の端まで移動。腰椎の前弯を意識して背すじはまっすぐ。両足を手前に引き、真上に向かってカラダを引き上げていく。

深く腰掛けた姿勢から立ち上がろうとすると背中が丸くなる。

上体が前に倒れて両手が自然に膝につく。

ヨッコイショ、と立ち上がるときに腰椎が丸まり、腰痛の元に。

平尾雄二郎

監修

平尾雄二郎 さん (ひらお・ゆうじろう)

脊椎外科医

都立広尾病院整形外科医長。脊椎外科の専門医として日々、手術による腰痛患者の治療のほか、セミナーなどで腰痛改善法の普及に努める。

衣装協力
タンクトップ¥4,600 タイツ¥8,600 ウォーキングシューズ¥9,900(以上ニューバランス/ニューバランス ジャパン TEL.0120-850-997)

『Dr.クロワッサン 歩幅65.1cmで、腰痛しらず。』(2019年3月5日発行)より。

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