「巣ごもり不調」改善のカギ。腸内環境を整える10のルール。
便秘やむくみ、ぽっこりお腹、不眠。そして体重増加、いわゆる巣ごもり太りです。
解消するにはどうすればいいのか。医師の伊藤明子さんにうかがいました。
撮影・岩本慶三 文・葛山あかね イラストレーション・松元まり子
【腸内環境を整えて不調を改善するためのルール】
[ルール1]毎食、2種類以上のたんぱく質を摂る。とくに朝食が大事
⃝ 朝食にたんぱく質を摂っておくと空腹ホルモンの分泌が減り、 満腹ホルモンが増加。結果的に間食が減ることにもつながります
⃝ たんぱく質不足が、巣ごもり生活で陥りがちな不眠やネガティブ思考、うつといった不調の原因に
⃝ 異なる2種類以上のたんぱく質を摂ることでアミノ酸のバランスが整い、その利用効率を上げることができる
「まずは白石さんの食事に足りないたんぱく質を摂ることから始めましょう」と伊藤さん。とくに大切なのは朝食とか。
「朝に摂ることで脳のスイッチが入るし、一日の中で満腹ホルモンの分泌が増えて、無駄食いが減りますから」
摂りたいのは2種類以上のたんぱく質を100g程度。「アメリカのある研究では、朝35gのたんぱく質を摂った人は、摂取量が少ない人に比べて、周囲の人への寛容性が上がったという結果に。つまり、イライラせず一日を気持ち良く過ごせるようになるということです」
(毎食、2種類以上の たんぱく質を摂る)
卵・魚・肉・乳製品、大豆製品のうち2種類以上を摂ること。重量にして100g程度。手のひら1杯分が目安です。
(おすすめのメニュー)
ゆで卵と生ハム、高たんぱくシリアルに低脂肪乳とごま、オムレツの中にしらすを入れるなど組み合わせて。
[ルール2]水分を“点滴飲み”(ひと動作ごとにちびちび飲む)
⃝ 便秘の原因の一つは圧倒的に水分不足だから
⃝ 意外と多くの人が足りてない。水分が不足すると代謝も悪くなる
食物繊維はもちろん、水分が足りないこともまた便秘を助長する原因に。
「基本は点滴飲み。つまりちびちび飲んでください。一度にがぶ飲みしても必要量だけ吸収されて残りは排出されます」
目安は1日1.5リットル程度。カフェインを含まない水、麦茶、そば茶がおすすめ。
[ルール3]3食すべてに食物繊維をきちんと摂り入れる
⃝ 便秘解消にはなくてはならない栄養素
⃝ 腸のお掃除役としてだけでなく、免疫を担う仕事や肥満防止の意味でも重要な意味をもつ
食物繊維は想像以上に重要な存在です。
「食物繊維の一番の役割は善玉菌の餌となり、活性化させて増やすこと。善玉菌は私たちの健康に必要な短鎖脂肪酸を分泌してくれます。短鎖脂肪酸があることで蠕動運動がより活発になり、腸の細胞膜でのミネラルの吸収が良くなるなどの働きが。食物繊維が不足すると、腸管での免疫活動の低下にもつながります」
(とくに摂りたいのは全粒雑穀、 きのこ類、海藻、野菜)
おすすめはもち麦、はと麦、キヌア、アマランサス、ひえ、きび、あわなどの雑穀。
椎茸、しめじ、えのきなど手軽で身近なきのこは食物繊維が豊富。腸の頼もしい存在。
ほうれん草や小松菜などの葉野菜、ブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科の野菜も。
食物繊維を多く含む野菜の代表格といえばごぼう。れんこんや山芋などの根菜もおすすめ。
(野菜の場合は、生野菜よりも、加熱した野菜がおすすめ)
生野菜ももちろん有効ですが、より効率的なのは加熱した野菜。煮物にするもよし、さっと湯がいてお浸しにするもよし。
(頻度を少なめにしたいのはGI値が高い野菜)
NGではありませんが、糖度の高いにんじんは摂りすぎないようにしたいところ。
いも類もGI値が高めのものもあり、血糖への影響があるため、食べすぎないように。
糖質の含有量が高く、甘味の強いかぼちゃも食べる頻度は多すぎないように気をつけて。
[ルール4]食事は同じ時間に。とくに夕食は20時までに摂る
⃝ 食事の時間がずれたり、狂ったりすると腸内細菌のバランスが崩れる
⃝ 善玉菌と悪玉菌の比率が変わり、免疫力低下、アレルギーリスクも上がる
⃝ さらに体は寝ている間に同化モードという、いわゆる溜め込みモードになるため肥満の原因に
「たとえば庭に花が咲いています。水や肥料を定期的にやると順調に育つでしょう。それと同じ。規則正しく食事をすることで腸内細菌は健全に育つんです」
とくに巣ごもり太りを解消したいなら、体が溜め込みモードになる20時までに食事を終えることが必要です。