からだ

納豆は本当に体にいいの? 専門家に取材しました。

たびたび健康効果が話題になる納豆ですが、本当に体にいいのでしょうか?
納豆の働きを知れば食べるのがもっと楽しくなります。
発酵の名門、東京農業大学の専門家に教わりました。
  • 撮影◦黒川ひろみ 文◦韮澤恵理

血液サラサラ効果や、免疫力向上は本当?

蒸した大豆に納豆菌をつけて発酵させたのが糸引き納豆。大豆は良質な植物性のたんぱく質で、大豆イソフラボンやレシチンなどを含む健康食材です。蒸して発酵させると、納豆菌が作る酵素がたんぱく質を分解してアミノ酸にし、消化も味もよくなります。

注目は、大豆には含まれていない酵素「ナットウキナーゼ」や、ビタミンKが生まれることです。

ナットウキナーゼは血栓を溶かす効果が研究でも認められ、血液をサラサラにする効果が期待できます。腸内を悪玉菌が暮らしにくい環境にするので、腸内細菌のバランスも整います。腸は免疫システムに重要なので、納豆は免疫力アップに役立つといえます。

ビタミンKは出血を止める効果があり、骨形成も助けるので骨粗鬆症予防に役立ちます。血栓防止薬を飲んでいる人は医師と相談を。

【納豆のつくり方】

【納豆菌が大豆をスーパーフードに!】

【納豆の種類と特徴】

●丸大豆納豆(大粒)
水で戻した乾燥大豆を蒸してやわらかくし、納豆菌をつけて発酵させたもの。大粒は大豆の直径が7〜8mmと大きく、大豆の味と歯ざわりが感じられる。

●丸大豆納豆(小粒)
作り方は大粒同様に蒸してから納豆菌で発酵させる。粒の直径が5〜6mmと小さめで、粘りけが出やすくご飯とのなじみもいい。発酵によって生まれる酵素は小粒のほうが多い。

●ひき割り納豆
乾燥大豆を砕いて皮を取り除いてから蒸し、納豆菌で発酵させる。納豆菌と大豆が接する面積が大きく、皮もないので発酵によって生まれる酵素類の量が最も多く、健康効果が高い。

●黒豆納豆
大豆の一種である黒豆を蒸して納豆菌で発酵させたもの。納豆同様に酵素やビタミンを含むだけでなく、黒豆の色素であるアントシアニンの抗酸化効果も持つ。

●乾燥納豆
糸引き納豆を乾燥させたもの。そのままつまんで食べても、水で戻して納豆として食べてもいい。日持ちがし、ネバネバやにおいが苦手な人でも食べやすい。

納豆の混ぜ方

納豆の粘りは、納豆菌によって分解されたアミノ酸と糖によってできています。かき混ぜると粘り成分が空気を含んで白くなり、舌触りがなめらかになります。たっぷり空気を含むほど粘りが出るので、白く糸を引くまで100回以上混ぜるという人も。粘りの量と栄養素は関係がなく、粘りが嫌いな人は混ぜずに食べても効果は同じです。

石川森夫

石川森夫 さん (いしかわ・もりお)

東京農業大学応用生物学部醸造学科准教授 博士(農芸化学)

東京農業大学農学研究科農芸化学専攻博士後期課程修了後、同大学応用生物科学部醸造科学科で、助手、講師を経て現職。『酢の機能と科学』(朝倉書店)、『乳酸菌とビフィズス菌のサイエンス』(京都大学学術出版会)、『発酵・醸造の疑問50』(成山堂書店)などの共著がある。

※プロフィールは取材時のものです。

野本康二

野本康二 さん (のもと・こうじ)

東京農業大学生命科学部 分子微生物学科教授

東京農工大学獣医学科卒業後、ヤクルト中央研究所勤務。この間に九州大学、科学技術庁放射線医学総合研究所、米国コロンビア大学がんセンター、科学技術庁放射線医学総合研究所などで研究に従事。日本細菌学会、日本生体防御学会、日本感染症学会に所属。著書に『腸内フローラの科学』(日刊工業新聞社)など。

※プロフィールは取材時のものです。

『Dr.クロワッサン 免疫力アップの決め手、腸内環境を強くする』(2020年7月30日発行)より。

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