お尻の筋肉が硬くなると骨盤が後ろに傾き、立った姿勢も歩く姿勢も見るからに悪くなります。
なぜそれが健康にとってよくないのかを、少し詳しく説明しましょう。
股関節(こかんせつ)は後ろ方向に15度の角度まで広げることができます。脚を前に降り出した後、着地をして地面を蹴り出す角度がこれに当たります。
歩幅が大きく颯爽(さっそう)と歩いている人は、この蹴り出しの動きを最大限のレベルで行っているということ。
ところが、骨盤が後ろに傾いていると、蹴り出しの動作に制限がかかってしまいます。それもそのはず、股関節を前にも後ろにも適正な角度で動かすことができるのは、骨盤が立った位置にあるから。
というわけで、骨盤が後ろに傾くと、脚を後ろに蹴り出すことができないので、どうしても歩幅の狭いチョコチョコ歩きになります。
カラダに疲れがたまっていたり、精神的なストレスが重なったとき、人はトボトボした歩き方になります。そのとき、ちょっと意識してみてください。骨盤が後ろに倒れていませんか? 背中が曲がって猫背姿勢になっていませんか?
骨盤が後ろに倒れると、お尻の筋肉や太ももの裏の筋肉が使えません。そのままの姿勢で立ったり歩いたりすると後ろに倒れてしまうので、自動的に膝が曲がります。
さて、この姿勢、どこかで見たことがありませんか? 小さい歩幅で歩くのがやっと、青信号で横断歩道を渡り切ることができないという高齢者の姿勢です。