からだ

腰が落ち膝が曲がったスマホ姿勢では、やがて歩けなくなる日がくるかも?

世に言う「悪い姿勢」は、何が悪いのでしょうか? 見た目年齢が実年齢よりも高くなるだけではないようです。スポーツ&サイエンス代表の坂詰真二さんに教わります。
  • 撮影・黒川ひろみ ヘアメイク・武田尚子(MÉLANGE) スタイリング・春原久子 文・石飛カノ イラストレーション・もとき理川 モデル・くらさわかずえ

お尻の筋肉が硬くなると骨盤が後ろに傾き、立った姿勢も歩く姿勢も見るからに悪くなります。

なぜそれが健康にとってよくないのかを、少し詳しく説明しましょう。

股関節(こかんせつ)は後ろ方向に15度の角度まで広げることができます。脚を前に降り出した後、着地をして地面を蹴り出す角度がこれに当たります。

歩幅が大きく颯爽(さっそう)と歩いている人は、この蹴り出しの動きを最大限のレベルで行っているということ。

ところが、骨盤が後ろに傾いていると、蹴り出しの動作に制限がかかってしまいます。それもそのはず、股関節を前にも後ろにも適正な角度で動かすことができるのは、骨盤が立った位置にあるから。

というわけで、骨盤が後ろに傾くと、脚を後ろに蹴り出すことができないので、どうしても歩幅の狭いチョコチョコ歩きになります。

カラダに疲れがたまっていたり、精神的なストレスが重なったとき、人はトボトボした歩き方になります。そのとき、ちょっと意識してみてください。骨盤が後ろに倒れていませんか? 背中が曲がって猫背姿勢になっていませんか?

骨盤が後ろに倒れると、お尻の筋肉や太ももの裏の筋肉が使えません。そのままの姿勢で立ったり歩いたりすると後ろに倒れてしまうので、自動的に膝が曲がります。

さて、この姿勢、どこかで見たことがありませんか? 小さい歩幅で歩くのがやっと、青信号で横断歩道を渡り切ることができないという高齢者の姿勢です。

悪い姿勢の立ち姿と歩き姿。

骨盤が後ろに倒れて背中が丸くなり、立った姿勢でも歩き姿勢でも膝が曲がる。高齢者姿勢の典型。

(A)猫背姿勢で胸の前が縮む。

(B)お尻の筋肉が硬く骨盤が後傾。

(C)太もも裏の筋肉も硬い。

(D)まっすぐに立っても膝が曲がる。

(E)脚を蹴り出せず歩幅が狭い。

(F)電車の中でスマホ操作をしているとき。悪い姿勢の座りバージョンです。

加齢変化に拍車をかける現代のスマホ姿勢。

疲れた状態で、たまたまそんな姿勢になってしまった。というのなら、もちろん、すぐにリセットできます。骨盤を立てることを意識すれば、サッサッと大股で歩くことができるでしょう。

ところが、疲れてもいないしストレスもたまっていないのに、無意識に高齢者のような姿勢になっている人たちがいます。

駅のホームで電車の中で、ときには歩きながら。四六時中スマホを操作している人たちです。

骨盤が後ろに傾いて膝が曲がっているのはもちろんのこと、画面を覗き込むために首はもっと前に出て視線が下がります。猫背のカーブもさらにきつくなります。

鏡で自分の姿をチェックしたら、一体、どこのおばあさん? とびっくりするくらいの姿勢になっているはずです。

こうした姿勢を続けていると、腰が落ちて膝が曲がり背中が丸まった姿勢を脳が学習して、常に無意識のうちに現れるようになり、その結果、骨や関節が固まってしまいます。気づいたときにはもう手遅れです。

ただでさえ加齢による筋肉量の低下で姿勢は崩れていきます。40代、50代はその変化が最も進みやすい年代。日々のストレッチでの姿勢改善が最も必要な年代なのです。

良い姿勢の立ち姿と歩き姿。

良い姿勢では歩幅が大きく歩くスピードも速くなる。活動的になるのでエネルギー消費も高い。つまり太りにくい。

(A)背すじがまっすぐのび、骨盤が立っている。膝もまっすぐ。

(B)脚を後ろに蹴り出せるので、歩幅が広く颯爽と歩ける。

坂詰真二

監修

坂詰真二 さん (さかづめ・しんじ)

スポーツ&サイエンス代表

1966年生まれ。横浜市立大学文理学部卒。アスリートへの指導のほか、各年代に応じた筋トレやストレッチなどをさまざまな媒体で紹介。

『Dr.クロワッサン 何歳からでもカラダはやわらかくなる!』(2019年1月5日発行)より。

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