からだ

やわらかいカラダになるために、守りたい5つの約束ごと。

のばす筋肉を意識すると逆に筋肉は固まります。同じポーズを長くとると筋トレに? ストレッチを始める前に注意したいこと。スポーツ&サイエンス代表の坂詰真二さんに教わりました。
  • 撮影・黒川ひろみ ヘアメイク・武田尚子(MÉLANGE) スタイリング・春原久子 文・石飛カノ モデル・くらさわかずえ

【1】のばす筋肉を意識したとたん、筋肉は縮もうとする。

ストレッチをするとき、「のばす筋肉を意識しましょう」と指導されることがあります。でもこれは逆効果。のばす筋肉を意識すると、十分なストレッチ効果は得られません。

筋肉トレーニングをするときは、鍛える筋肉をしっかりと意識します。そうすることで筋肉は強い力を発揮するモードになり、トレーニング効果が得られるからです。

ストレッチをするときは、これと逆のモード、脱力&リラックスにもっていくことで、より筋肉をのばすことができます。

筋肉は自力でのびることはできません。ほかの部位の筋肉の力を使って初めてのばすことができます。ということは、脱力すればするほどストレッチ効果が得られることに。

これは、マッサージを受けるとき、ガチガチに緊張していると効果が半減し、リラックスしてカラダを委ねることで高いマッサージ効果が得られるのと同じこと。

テレビを見ながら、誰かとおしゃべりしながら。とにかくリラックスして行うことが大事。

【2】正しいフォームを身につければ、意識しなくても狙った筋肉がのびていく。

ストレッチをしてもカラダの柔軟性がちっとも向上しない。この場合、フォームが間違っていることが主な原因です。

たとえば、下の正しいフォームと間違ったフォームを見てください。片足立ちになって両手で膝を胸に引きつけるこのストレッチの目的は、お尻の裏の筋肉を十分にのばすこと。

でも、「膝を胸に近づける」ことだけに集中すると、軸脚の膝が曲がり、背中も丸まった姿勢に。股関節(こかんせつ)をしっかり曲げて、太ももをお腹に近づけることでお尻の筋肉はのびるので、これではまったくストレッチの効果が望めません。

なんとなく「見よう見まね」ではなく、写真をしっかり見て、できれば鏡の前で正しいフォームで行うこと。本気で「やわらかさ年齢」を若返らせたいなら、これが必須条件。

●悪いフォーム

(A)軸脚の膝が曲がり、背中が丸まってお尻がのびない。

●良いフォーム

(B)膝下をカラダに引き寄せることでお尻がのびる。

【3】あまり運動習慣がない人は、1回10秒から始めると、疲れず効果を実感できる。

ストレッチを続ける時間は、教科書上は30秒といわれています。というのは、生理学的な実験で20〜30秒間筋肉をのばすと、やわらかさが増すという結果が出ているから。

でも、これは他人にストレッチをしてもらっての実験。自分で自分の筋肉をのばすとなると、話はちょっと違ってきます。上の写真のようなストレッチを30秒間続けるのは至難の業。バランスも維持しづらく、腕も疲れてしまいます。

そこで、おすすめなのは10秒筋肉をのばし、これを3回繰り返す方法。1回目より2回目、2回目より3回目の方がやわらかくなるはず。

【4】週1回の長時間ストレッチより、短時間でも毎日続ける方がカラダはやわらかくなる。

ストレッチの効果はすぐに表れますが、その効果は長続きしません。ストレッチの後、1時間くらいすると柔軟性は少しずつ低下していき、1日か2日経つ頃には、すっかり元の状態に戻ってしまいます。一度カラダがやわらかくなっても、放っておけば元の木阿弥。

これは、一度のばされた筋肉の中の組織がミクロのレベルで元に戻ろうとするから。

カラダが硬い初心者のうちは、日常生活とストレッチ直後の筋肉のやわらかさの差がそれほど大きくないので、2〜3日はカラダのやわらかさを実感できます。

でもストレッチを続けて柔軟性が高くなるほど、ストレッチしたときとしないときのギャップが大きくなっていきます。だから毎日行い、続けることで少しずつ高まっていく柔軟性を保つのです。

というわけで、1週間に1度、1時間ストレッチするより、1日5分のストレッチを毎日行う方がはるかに効果的です。

ストレッチは時間よりも頻度重視で。

入念なストレッチをしても2〜3日後には元の状態に戻ってしまいます。短時間のストレッチを頻繁に行う方が柔軟性のアップには有効です。

【5】買い物で歩いた後、家事の後など、カラダが温まっているときが、ストレッチのベストタイム。

ストレッチの最大の特徴のひとつは、ポーズを選べば、いつでも、どんな場所でも行えるということ。

ただし、同じストレッチ種目でも、タイミングによっては筋肉をほぐす効果に違いが出てくることがあります。キーワードは「体温」。

体温が高いほど筋肉はリラックス状態に入ります。逆に体温が低いと、筋肉や筋肉を包み込んでいる膜のような組織も弾力性を失い、硬くなった状態になります。

このため、冬の寒い朝や寝起きで行うストレッチでは最大の効果が得られないというわけです。

おすすめのベストタイムは、体温が上がっている入浴後。または、買い物で歩いた後、家事の後など、軽い運動でカラダが温まっているときです。

坂詰真二

監修

坂詰真二 さん (さかづめ・しんじ)

スポーツ&サイエンス代表

1966年生まれ。横浜市立大学文理学部卒。アスリートへの指導のほか、各年代に応じた筋トレやストレッチなどをさまざまな媒体で紹介。

『Dr.クロワッサン 何歳からでもカラダはやわらかくなる!』(2019年1月5日発行)より。

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