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なぜ乾く? 皮膚と体内のアンチエイジングの専門家が解説する8つのキーワード

憎き敵・乾きを解消したいなら、そのメカニズムを把握するのが先決。
皮膚と体内のアンチエイジングに詳しい形成美容外科医、松宮詩依さんが、キーワードを元に解説。

イラストレーション・黒猫まな子 文・板倉みきこ

【 栄養不足 】

●からだの中から肌を守っている、栄養バランスを整えよう。

肌が保湿成分を作り出す力を促進させるには、日々の食事や栄養バランスにも注目したい。

「肌を守る材料となる主な栄養素は、タンパク質、ビタミンA、B群、D、そして亜鉛です」

タンパク質は、特に女性や高齢者にとって摂取量が減りやすい栄養素。積極的に摂取したい。

「タンパク質を体内で分解・合成する際に水も発生するので、タンパク質不足は体内が乾燥する大きな原因になります。また、日本人の食事で不足しがちなのが亜鉛。細胞修復やエネルギー代謝に関わっていて、口角の荒れや乾燥が治りにくい場合は、亜鉛不足が疑われます」

ビタミンB群やタンパク質を摂れる豚肉やバナナ、亜鉛豊富な牡蠣や昆布に注目。
ビタミンB群やタンパク質を摂れる豚肉やバナナ、亜鉛豊富な牡蠣や昆布に注目。

【 筋肉の減少 】

●水分をたっぷり含む筋肉が、全身の潤いを維持する鍵。

男女を比較すると、平均的に女性のほうが体内の水分量が少ない。

「女性は男性より筋肉が少なく、脂肪が多いからです。筋肉組織に含まれる水分は全体の約7〜8割。筋肉は体内の貯水池といわれるほど水分を多く含んでいます。一方の脂肪は、水分保持力がないんです」

でも、筋肉は加齢とともに1年で1%ずつ落ちていくといわれている。

「筋肉は体内の炎症を抑えたり、免疫力をアップするなどの作用も期待できる、アンチエイジングには欠かせない組織です。乾燥対策と老化予防に筋トレを取り入れましょう」

水分を貯蔵してくれる筋肉。加齢で減少するのは必然なので、維持する努力を。
水分を貯蔵してくれる筋肉。加齢で減少するのは必然なので、維持する努力を。

【 炎症と酸化 】

●様々な問題をもたらすのが、体内のあらゆる場所で起こる炎症。

体内では、細菌やウイルスと闘うために四六時中炎症が起こっている。

「からだを守るために必要な反応ですが、免疫力が低いと炎症に対処できなくなるんです。過度な炎症は、老化を促進する酸化をもたらします」

酸化によって、あらゆるストレスに弱くなる悪循環が生まれる。

「体内の酸化の影響を受け、皮膚の乾燥も悪化。まずは、免疫力を高めるために腸内環境を整えましょう。そしてからだを修復してくれる抗酸化物質で、体内では最大の効果があるともいわれるメラトニンを出すため、良質な睡眠を心がけてください」

乾燥や湿疹など肌に現れたトラブルは、体内のどこかで炎症が起きている可能性も示唆。
乾燥や湿疹など肌に現れたトラブルは、体内のどこかで炎症が起きている可能性も示唆。

【 女性ホルモン 】

●女性ホルモン分泌に関わる脂質は、肌のハリや瑞々しさの元。

肌の乾燥を防ぎ、ハリを保つには、皮脂の量も大切。

「皮脂不足はシワの元です。食事で摂る油を制限しすぎたり、逆に質の悪い油を摂っていると、シワシワなのにテカり肌、という状態になることもあります」

脂質は、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進させる女性ホルモンの材料にもなる。

「加齢で女性ホルモンの分泌量は減りますが、過度のストレスやダイエットなども減少の原因になります。太りすぎは体内に炎症を起こして問題ですが、脂肪細胞が若返り物質を出しているので、中高年以上はダイエットをしすぎないことも肝心です」

小太りな人ほど肌ツヤがよく見えるのは、体内の脂質が、女性ホルモンの材料になるから。
小太りな人ほど肌ツヤがよく見えるのは、体内の脂質が、女性ホルモンの材料になるから。
  • 松宮詩依

    お話を伺ったのは

    松宮詩依 さん (まつみや・しえ)

    形成美容外科医

    「東京皮膚科・形成外科」勤務。筋肉のアンチエイジングやインナービューティーなどに精通し、講演も精力的に行っている。

『クロワッサン』1034号より

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