祖母や母から伝えられた手仕事をベースに、モダンなセンスをプラスした料理や保存食、乾物料理で人気のワタナベマキさんは大の発酵食好き。著書『発酵野菜があればおいしいごはん』でも、多彩なレシピを紹介している。
「発酵食っていいですよね。うま味はもちろんですが、香りや酸味にも深みがあって。素材そのままの時にはない味わいが生まれます」
発酵食が身近にある環境で育ったというワタナベさん。祖母から株分けされたぬか床を使ったぬか漬け、毎年寒の時季に母が仕込む自家製味噌、その味噌で漬けた魚や麹漬けの野菜……。
「だから菌活や発酵食は、私にとって特別なことではなく当たり前のことだったんです。今思えば、よい食環境で育ててもらったな、と。子どもの頃からの酸味好きは大人になっても変わりませんね。もしかしたらお酒を嗜むようになって、ますます好きになっているかもしれません(笑)」
発酵によって生まれる酸味は、ほんのり漂う程度のものから目の覚めるような強いものまで、グラデーション豊か。うま味や香りと相まって、ごはんのお供としても、お酒の相棒としても間違いがないとワタナベさん。