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手みやげをひとつ|石巻『白謙』の笹かまぼこ

  • 撮影・森山祐子 文・嶌 陽子

飽きのこない素朴な味わいは、おやつにもぴったり。

 ふっくら肉厚な食感と、口の中にじわっと広がる魚の旨味。歌人の東直子さんが惚れ込んでいる笹かまぼこは、宮城県石巻市のかまぼこ店『白謙』のものだ。出合いは8年ほど前。夫が仙台で単身赴任を始めたことがきっかけだった。

「宮城県に住む友人や知人たちから、笹かまなら『白謙』のものがおいしいと聞いたんです。いろいろ食べ比べてみたんですが、やっぱりここのが一番。柔らかくて、やさしい味なんですよね。それ以来、夫を訪ねて仙台へ行くたびに、おみやげに買っています」

キチジ(キンキ)やタラ、グチなどの魚の身と、天日塩を使って丁寧に作られた笹かまぼこは、素材の味が生きていて、食べ応えも充分。友人にあげたり、実家に送ったりしては喜ばれている。

「手みやげというと、甘いものが多いでしょう。これだと、少し毛色が違うのでいいかな、と。個別包装されているので、実家ではご近所にも配っているみたいです。小腹が空いた時、袋を開けてそのままパクリとかぶりつける気軽さも気に入っています。私は、おやつに食べることが多いです。笹かま片手に本を読んだり、パソコンでインターネットを見たり(笑)。実際、宮城ではよくお茶請けにしているそうですよ」

関西で生まれ、子どもの頃は父親の転勤でいくつかの街に住み、30年ほど前からは東京で暮らしている東さん。行く先先の味に自然と馴染んできたという。夫を通じて宮城県にも縁ができた今、また新たな土地の味を知った。

「魚介類や野菜、果物など、素朴な味がいいですよね。この笹かまも、シンプルな味だからこそ、飽きがこないのかも」

仙台から東京へ帰る新幹線の中で、自分用に買った笹かまを一つ、さっそく袋を開けて食べる。それもまた、毎回の旅の楽しみになっているそうだ。

東 直子さん
ひがし・なおこ 歌人

’96年第7回歌壇賞、今年『いとの森の家』で第31回坪田譲治文学賞受賞。『とりつくしま』『千年ごはん』など小説、エッセイも多数。近著に『七つ空、二つ水』(キノブックス)。早稲田大学文学学術院文化構想学部教授。

しらけん●宮城県石巻市立町2-4-29 ☎0225 22 1842 FAX0225 94 5800 営業時間9時〜18時、無休。笹かまぼこ「極上笹」170円。他に「チーズ笹」「ねぎ笹」 各100円、「白謙揚げ」120円など。詰め合わせセットもあり。東京では三越日本橋店、三越銀座店などで購入可能。取り寄せ可。
http://www.shiraken.co.jp/

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