いまどこ? 元気? 大丈夫? 親世代にスマホでマスターしてほしいこと
イラストレーション・浅妻健司 文・小沢緑子
スマホを持っているけれど、使えていないシニアが大半です
今や日常生活にないと困るスマホだが、シニアには「使いこなせていない」という意識があるよう(上参照)。
「高齢でもスマホ好きな人はスイスイ使いこなしていますが、シニアの大半は『画面が小さく見づらい』『横文字だらけで意味がわからない』と苦手意識をもつ人が多いです」と、シニア向けスマホ講座が好評の川島玲子さん。
さらに、自分の機種がiPhone、Androidのどちらなのかわかっていない人もいるという。
「シニア世代の場合、若い人のようにスマホに『感覚的に慣れる』より、学校の勉強のように『最初にここを押して、次はここを押して』と一から暗記しようとし、それが逆効果になり面倒になってしまう人も多いのです」
まずは「指の操作」「画面の切り替え」の基本操作に慣れることが先決。
「たとえばタップは力を入れすぎるとうまく反応しないので『赤ちゃんのほっぺに触るように優しく』、何か操作中に別のアプリを見たいときは『いったん最初の画面に戻って』と説明を」
アイコンについても絵柄をわかりやすく、「『どこに出かけても必ず家に帰るように、この家のマーク(ホーム)がスマホの基本の場所』『自分のスマホの中からほかの人に写真を送れるから、この上矢印マーク(シェア)なんだよ』と日本語で意味づけできるよう説明するのがおすすめです」。
さらに次から親子で共有すると便利なアプリ、セキュリティ対策やスマホじまいのポイントも聞いた。
基本のアプリを3つ使えれば、お互いの困りごとが減る
「アプリはこの3つがあれば、親子で楽しく便利にスマホを使えます」
優先順位が高いのが〈LINE〉。
「90歳を超えた人もLINEで友だちと『今日も元気?』とやりとりをしていて、文字を打つのが大変なときはスタンプを送るだけでも気持ちが伝わるし、気軽につながれるのがうれしいと言っていました。もし親御さんが文字が入力しづらそうなら、音声入力も教えるとハードルが下がると思います」
「シニアのSNS利用で断トツの人気を誇るアプリです。文字やスタンプを送る、撮った写真のシェア、ビデオ通話と、このアプリ一つでカバーできます。家族グループを作ってやりとりすれば、自然な安否確認ができますし、お互いのコミュニケーションも深まります」。また、LINEで電話をかけたり、ビデオ通話ができる機能があることも伝えよう。「ビデオ通話に親御さんが慣れていない場合、『顔を見て話せる電話だよ』と伝えると理解してもらいやすいと思います」
次が〈カメラ〉アプリ。
「ガラケーからスマホに替えたばかりの人の中には『電話とメールさえできれば充分。普段写真なんて撮らないから』と言う人もいますが、カメラ機能は何か文字を読みたいとき、その箇所を写してつまんで広げる動作(ピンチアウト)をすれば拡大鏡としても使えます。記念撮影する以外に便利な用途があることも伝えると、次第に興味が湧いてくるのではと思います」
カメラアプリの拡大機能は、日常生活でも大活躍。「たとえばバス停の時刻表、チラシの小さな文字を読みたいときも拡大鏡のように簡単に拡大できます。メモ代わりに写真を撮っておけば、あとで見返せるのも便利」。写真機能は「撮り方」「撮った写真を見返す」方法、「自動バックアップ」設定を、親に伝えながら一緒に確認しておこう。「カメラで写真を撮ることに慣れてきたら、次は写真を共有して楽しむ提案をしてみては。LINEグループのアルバム機能でもいいと思います」
3つ目は、Androidでは標準アプリの〈Googleマップ〉。
「Googleマップは優秀なので、iPhoneでもダウンロードして使うと便利。やはり音声入力ができることを話すと、喜ばれる人が多いです」
通常の目的地までの経路を検索するほかにも、「私の場合でいうと、方向音痴なので、カーナビのように音声案内に従って目的地が目指せることも便利。また、ストリートビューで出かける前に目的地周辺の風景を確認できるのも安心です。知っている道で一度練習すれば使いこなせると思いますよ」。
Googleマップの音声入力はアプリの検索バーにあるマイクアイコンをタップし、スマホに向けて行きたい場所を話しかけるだけ。「そんな便利機能以外に、たとえばコーヒー好きの親御さんなら、検索したい店までの経路や行くまでにかかる時間だけでなく、店の印をタップすれば写真で店内の様子やメニュー、口コミなどもわかることも教えてあげましょう。それだけの情報を自分で一から調べるのは難しいので、シニアにとって優しい道先や旅先案内人になってくれます」
親子で待ち合わせをするときも便利
親も子も便利なのが、スマホの位置情報。「普段LINEのやりとりをしていれば位置情報の共有は簡単。リアルタイム性や自動検知ではなく、親御さん本人が今いる場所の位置情報を『送る』操作をする必要がありますが、新しいアプリを入れる手間もなくおすすめです」。ほかにもGoogleマップの[位置情報を共有]機能も手軽。
忘れてはならないセキュリティと、今後のスマホじまい
セキュリティと身の安全のために
「セキュリティ対策は、まず知らない電話に出たり折り返さないことです」
スマホアプリで気をつけたいことは無料期間が過ぎると課金されたり、間違って購入してしまう「うっかり課金」。「防ぐための設定があるので、オンにしておきましょう(下参照)」。子世代に関心が高い見守りアプリは、心理的な抵抗を感じるシニアも。前述のLINEやGoogleマップの身近な位置情報機能で試し、必要があれば導入を。いずれも事前の説明は必要」
アプリ内課金を防ぐ
見守りアプリを入れる
相手の位置情報を地図で確認できる。「ただ常時の共有なので、親子で互いの位置を見守り合う設定にすると対等でいいと思います」
スマホの無充電が続くと自動で家族にメールで通報。緊急通報機能も。「見守られるほうはiPhone限定ですが、初期設定後は操作不要で簡単」
「親側のスマホの最終利用時間を自動共有。無料なのも導入しやすいと思います」。24時間未使用の場合のみ、アラート通知が飛ぶ。
スマホじまいに備える
「今はその人の全情報がスマホの中に入っているといっても過言ではなく、シニアに限らずどの世代にも『スマホじまい』の準備は必要」。ポイントは、小さいノートに1ページずつ、①スマホの「ロック解除コード(6桁の数字など)」、②支払い方法、課金中のサブスクの「アプリ名+ID+パスワード」を書き込み、家族にだけ置き場所を伝える。「自分のスマホのデータにアクセスできる人を事前に指定できる設定(下参照)もあるので、それも必ず」
信頼する人をデータの後継者に指定
『クロワッサン』1171号より
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