【しそ巻き/ずんだ餅】宮城県 畑の恵みにひと手間かけた農家の味──知恵が詰まったおいしさに感動。郷土の味を訪ねて
撮影・宮濱祐美子 文・黒澤 彩
【しそ巻き】大葉で巻いた味噌を揚げた定番おかず
東京から東北新幹線に乗って仙台のひとつ先、古川駅で下車。こけしの里で知られる鳴子温泉郷があり、ササニシキをはじめとする米どころとしても有名な宮城県大崎市へとやってきた。
田植えを終えたばかりの水田が広がる道を車で走り、初めに訪れたのは『惣菜丸走』の工房。もともと味噌造りが盛んだったこの地域で日常的なおかずとして食べられている郷土料理、しそ巻きの専門店だ。「昔は各家庭で作られていたそうで、私たちのレシピも4代にわたって受け継いできたものです」と店主の伊藤走さん。くるみ、砂糖、唐辛子などを練り込んだ味噌を大葉でくるくると巻き、油で揚げ、一晩寝かせてしっかりと油を切る。店によっては揚げずに焼くレシピもあるという。くるみ味噌とパリッと揚がった大葉の香ばしさが後をひく味わいで、ご飯のお供にはもちろん、酒のアテにも抜群。常温で1カ月ほど日持ちがするので、お土産にも買いやすい。
しそ巻き専門店 惣菜丸走
伊藤さん夫婦と親族で営む専門店。甘すぎず辛すぎず、程よいバランスの味噌の味わいが特長で、大葉はしそ巻き専用の大きなものを契約農家に作ってもらっているという。走さんは教会の牧師でもあり、しそ巻き店と牧師、両方を父から継ぎ奮闘中! 大崎市内の「あ・ら・伊達な道の駅」「ウジエスーパー」などで販売されているほか、オンラインショップ(https://www.sisomaki.com)でも購入可。
【ずんだ餅】夏が旬の枝豆で作るお盆のお供え餅
次なるお目当ては、今や宮城名物として大人気のずんだ餅。農家の女性たちが本場のずんだ餅作りを教えてくれる体験プログラムに参加した。
「ずんだ餅は、夏に収穫する枝豆を使って作るので、お盆に仏様へお供えしてからいただくのが習わしです。お盆の前には大鍋でたくさんの豆を茹でて、1日がかりの大仕事です」と教えてくれたのは、郷土料理を伝承している「西古川ずんだシスターズ」代表の福原洋子さん。シンプルなものゆえに下ごしらえに手間をかける。ひと粒ずつ枝豆の薄皮をむくのも、すり鉢であたるのも、お母さんたちの手仕事は素早いがたくさん作るのは大変だろう。そうやって手作りしたできたての美味しさは言わずもがな、格別だ。
もう一品、刻んだ野菜や油揚げを煮た醤油味のおつゆに白石温麺を入れた、その名も「すっぽこ汁」。かつては法事の手伝いに来てくれた人たちへお礼にふるまったものだそう。「今は仕出し屋さんがあるけれど、昔は近所の女性が集まって7日間も料理を作り続けたんですよ」と福原さん。残り野菜=野菜のしっぽを使ったのが由来ともいわれている。
農家の四季の暮らしから生まれた宮城の郷土料理。お腹も心もほっと温かくなる味の記憶は、田んぼの風景とともに旅の思い出に。
ずんだ餅作り体験
米と併せて枝豆を栽培する農家も多いという大崎市古川。採れたての枝豆で手作りするずんだ餅は、豆の香りが濃い、産地ならではの夏のご馳走のひとつ。包丁を使わずに作れるので、子ども向けの体験としても人気があるそう。郷土料理作り体験プログラムは通常10名以上で催行。2週間前までにHPから要予約。
問い合わせ:みやぎ大崎観光公社 TEL:0229-25-9620 https://miyagi-osaki.com
ここにも立ち寄って
こけしや茜
今年4月、鳴子温泉駅近くにオープン。渡辺あかねさん作の伝統こけしや創作こけしが並ぶ。「鳴子のこけしは、首が回ってキュッキュと鳴るのが特徴。子どもの安全のために食紅を使っていて、その紅と緑の色合わせも魅力です」。
『クロワッサン』1169号より
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