50歳から、まだまだ行ける!新しいステップを踏み出した大橋利枝子さん。
撮影・柳原久子、大嶋千尋、嶌 陽子
[大橋利枝子さんの転機]親友の他界を機に、衣服ブランドの立ち上げを決心。
「50代の私に何ができるだろうと考えた時、 築いてきた人脈が財産だと思ったんです。」
「商品の検品作業からタグ付け、発送まで、ほとんど一人でやっています。パソコンが苦手だから、受注書や請求書を発行するのもひと苦労で」
そう話す大橋利枝子さんの顔は、それでも生き生きしている。昨年、衣服ブランド「fruits of life(フルーツオブライフ)」を一人で立ち上げてから1年あまり。「50代の自分自身が着たいと思うものを作った」というラインナップは、着心地のよさと上品な美しさを兼ね備えた、大人の女性のための服だ。30年近いスタイリストのキャリアを経て、「今後はデザイン一本でやっていく」と決意。その背景には何があったのだろうか。
短大卒業後、20歳の時に雑誌『オリーブ』編集部のスタイリストアシスタントになった大橋さん。
「学校みたいな自由な雰囲気だった」環境で、ファッションやカルチャーなど、あらゆるものを吸収していった。
「みんな仲が良くて、すごくフラットな関係でした。人との接し方も含め、私の基盤が作られた時代でしたね」
3年後にスタイリストとして独立し、20年以上、数々の雑誌や広告などで活躍。そして2012年、縁あってライフスタイルショップ『fog linen work』の新しい衣服ブランド「FLW」のデザインを手がけることに。
「モデルに服を着せるスタイリストの仕事とは全く違う経験でした。一般の、さまざまな体形の人が着る服をデザインしなければいけない。お客様が試着する様子を見て『着る時に体のこの部分が気になるんだ』とわかったり。体形やサイズ感について、すごく勉強になりました」
6年間「FLW」のデザイナーを務めた後、昨年、52歳で自身のブランド「fruits of life」を立ち上げた。
「『FLW』の時はデザインだけ担当する、いわばお手伝いのような感覚でした。今は、パターン製作は信頼するパタンナーさんに外注していますが、それ以外はお金の管理、生地問屋との交渉、営業など、ほぼ全て自分の仕事。毎日すごく忙しいですが、イメージどおりのサンプルが上がってきたり、お客様が試着した瞬間に笑顔になるのを見た時は本当にうれしい。やってよかったと思いますね」
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