くらし

50歳から、まだまだ行ける!新しいステップを踏み出した大橋利枝子さん。

  • 撮影・柳原久子、大嶋千尋、嶌 陽子

命には限りがあると実感し、「元気なうちにやろう」と決心。

「自分が着たいと思う服を作りたい」という気持ちは心の中にあったものの、「一人でブランドを立ち上げるなんて無理」と、なかなか一歩を踏み出せなかったという大橋さん。そんな背中を後押ししたのは、30年来の友人の他界という出来事だった。

「彼女が病気になってから、通院に付き添ったりするなど、3年くらい闘病をサポートしました。50代半ばで彼女が亡くなった時、強く思ったんです。『命には限りがある。元気なうちにやりたいことをやっておこう』って」

ブランドの立ち上げにあたっては、アパレル関連の仕事に携わる友人たちが生地問屋や縫製工場を紹介してくれたり、アドバイスをくれたりした。多くの人に支えられながら、「fruits of life」は少しずつ歩みを進めている。

「独立する前は、依頼があった仕事を“受ける”感覚。でも今は、自分で仕事を“作る”という意識に変わりました。これまではわかり合えている人とだけ仕事をしていればよかったけれど、今は初めて会う人に自分がどんな人間か、『fruits of life』がどんなブランドなのか、自分の言葉でしっかりと説明しないといけない。コミュニケーションも、前より積極的にとるようになったと思います」

ブランドのキーカラーでもある紺色は大橋さん自身、大好きな色。
仮縫いのサンプルを作り、トルソーに着せたり自分で着てみたりしながら、数ミリ単位で調整し、シルエットの美しさや着やすさを追求。
「生地を選んでいる時が一番幸せ」というほど布が好き。

人と人をつなげるサロンのようなこともしたい。

アトリエにしている都内のマンションでは、衣食住にまつわるイベントなども少しずつ開催している。ここをサロンのような場所にしていきたいのだと大橋さんは言う。

「50代の私に何ができるだろうと考えた時に、人と人をつなげることだと思ったんです。これって20代ではできないことですよね。数十年かけて築いた人脈が、私の大きな財産のひとつですから。ここ1年で、新しい出会いもさらに増えました」

ブランド名の「fruits of life」は、「生活の実り」という意味。亡くなった友人にも相談しながら、悩んだ末に決めた。「日々の暮らしが豊かになるように」という願いが込められている。

「知人に『“充実した人生”という意味合いもあるね』と言われたんです」

ブランドを始めた際に周囲からもらった「続けることが大事」というアドバイスが心に残っていると話す。今後、新しい挑戦や出会いを積み重ねていくことで、大橋さんの日々はさらに実り豊かになっていくはずだ。

今年6月に東京・吉祥寺の『ギャラリーフェブ』でポップアップショップを開催した。「fruits of life」の服をはじめ、大橋さんがセレクトした日用品やお菓子、お茶なども販売。

『クロワッサン』1003号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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