「自分が着たいと思う服を作りたい」という気持ちは心の中にあったものの、「一人でブランドを立ち上げるなんて無理」と、なかなか一歩を踏み出せなかったという大橋さん。そんな背中を後押ししたのは、30年来の友人の他界という出来事だった。
「彼女が病気になってから、通院に付き添ったりするなど、3年くらい闘病をサポートしました。50代半ばで彼女が亡くなった時、強く思ったんです。『命には限りがある。元気なうちにやりたいことをやっておこう』って」
ブランドの立ち上げにあたっては、アパレル関連の仕事に携わる友人たちが生地問屋や縫製工場を紹介してくれたり、アドバイスをくれたりした。多くの人に支えられながら、「fruits of life」は少しずつ歩みを進めている。
「独立する前は、依頼があった仕事を“受ける”感覚。でも今は、自分で仕事を“作る”という意識に変わりました。これまではわかり合えている人とだけ仕事をしていればよかったけれど、今は初めて会う人に自分がどんな人間か、『fruits of life』がどんなブランドなのか、自分の言葉でしっかりと説明しないといけない。コミュニケーションも、前より積極的にとるようになったと思います」