おじゃました街の駅や空港から車で会場入りして楽屋でノソノソ、仕事中は座ったまんまですし、終わればそのままトンボ返り。移動距離が1000km超なのに万歩計は1000歩以下、なんてことも。
そこで自宅から最寄りの駅ではなく、ひと駅・ふた駅先まで、寄席から何駅か歩いてみよう……。そんな心がけで数ヶ月、思わぬ街角で「あれ? この町名、落語の中に出てきたな」「この店、あの噺の舞台になった……」なんて、出会いがあるんです。もちろん落語を演じるうえで、その舞台となったところを訪ねて歩く経験はしたことがありますが、偶然の発見はまた違ったうれしさがあり、あらためて東京は落語のふるさとだと実感できるのです。
仲間には“歩きながら落語の稽古をする”という人もけっこういるんですが、私はそれが全くできないタチ。噺家になって四半世紀以上、ようやく“歩いて落語日和”を体験できて、ごきげんな今日このごろです。