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【荻原魚雷さんの場合】家庭円満の夫に聞く、捨てられない極意。

  • 撮影・清水朝子 文・嶌 陽子

家の中でも外でも別行動。無理に相手に合わせないのが楽。

自炊歴は一人暮らしのころからと長い。「最近は全国各地の調味料を試すのが楽しみです」

結婚して15年。魚雷さんが出会ったその日にプロポーズし、間もなく一緒に暮らし始めたというが、今も夫婦の趣味はばらばらだ。休日、家で過ごす時も、魚雷さんが本を読んでいる傍らで妻はゲームに夢中。外出しても、数時間後の待ち合わせ場所だけ決めて、別行動することが多い。
「結婚当初は、出かけた時も頑張ってずっと一緒に行動したり、家でも一緒に映画を見たりしていました。でも、だんだん疲れてきてしまって。お互いに無理して合わせるより、今の形がすごく楽なんですよね」

お互いにとっての心地よさを尊重しながら、緩やかに空間や時間を共有する。試行錯誤して見つけた今の形を、これからも続けたいと思っている。
「ケンカも、ほとんどしたことはないです。妻はおおらかな性格で、一度寝てしまうと、僕がうっかり踏んづけても起きない。僕は細かいので、そんな妻から学ぶことは多いです。時々は、こんなところを直してほしいなと思うこともありますよ。例えば、“日用品はなくなってからではなく、切れるちょっと前に言ってほしい”(笑)。でも、そんな時は、5年くらいかけて気長に待つようにしています。自分の性格や生活習慣だって、そう簡単には変わらないのだから、お互いさまです」

もうひとつ、荻原さんが考える夫婦円満の大事な秘訣がある。それは、“疲労と空腹は絶対に避けるべし”。
「やさしさって、余裕がないと生まれません。だから、体力が何より大事だと思うんです。“しんどかったら休む”、これさえお互いに認めてしまえば、腹が立つことはあまりないですね。家で過ごす時は、お互い、思いきりダラダラしています。2人でしゃべっている途中で、気づいたらどちらかが寝ていることもあるんです」

荻原魚雷(おぎはら・ぎょらい)●文筆家。1969年、三重県生まれ。古本や読書についての著書が多い。近著に日常の家事のコツについて書いた『日常学事始』(本の雑誌社)。

『クロワッサン』964号より

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