シワ、たるみ、シミ、毛穴と、大人の肌に悩みはつきないが、それらを解消してくれる運命のコスメを見つけるのは至難の業。その中で最近の日本ブランドの製品は、自分に合ったものを見つけやすいと、美容ジャーナリストの渡辺佳子さんは最新コスメ市場を分析する。
「まずは化粧品の歴史について振り返りたいのですが、’80年代半ばからバブル経済へ向けて外資ブランドが次々と上陸。美容液というカテゴリーが誕生しました。バブル崩壊後は国産ブランドが日常美白を啓蒙し、シミ・そばかすが出やすい日本人の肌のことを考えたケアを提案しました。ドクターズコスメの参入という波も訪れます。その後、化粧品は最新医療やサイエンスの知見から開発を行い、より結果が求められるようになりました。ノーベル生理学・医学賞受賞の技術が、すぐに化粧品の着想に取り入れられることも珍しくありません」
この傾向は外資系、国産いずれにも見られるが、国産ブランドは、とりわけ化粧品を使う人の気持ちに寄り添って開発されている印象があるそう。
「海外ブランドは、最新の知見や研究成果から商品を開発する例が多いです。国産ブランドにも、もちろんサイエンスはありますが、消費者が何をどうしたいのか、という細かい要望に基づいて作られているので、商品選びがしやすくなっていると思います」
30年以上、最新コスメを常に見てきた渡辺さんに、国産コスメの選び方を教えてもらった。
「トレンド好きな人にオススメなのが、新しい着眼点から開発されたコスメ。ポーラの〈V リゾネイティッククリーム〉は認知科学の研究から人と豊かな関係を結びやすい顔の特徴を導き出し、そのためにはほほ全体にふっくら立体的な丸みが必要と解明。それをたるみの原因となる肌部位のリフトアップのためのテクノロジーとつなげました。〈コスメデコルテ AQ〉は、神経科学の研究から、リラックスさせることで肌の美しさを導くというアプローチで『肌・感度』に着目したリニューアルをしています」
サイエンスのあらゆる側面から、化粧品を発想する時代なのだ。