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知っておきたい。猫がかかりやすい7大疾病と肥満問題。

  • 撮影・岩本慶三 文・葛山あかね

【がん】長寿になったからこそ増えた病。定期検診で早期発見を。

免疫のバランスが崩れて生じる細胞のエラー。加齢とともに発症率が高まる。「猫に多いのは乳腺と腸管にできるがん。乳腺はメスに、腸管はオスとメス両方に見られます」。人間と同じく、早期発見が大切だが猫のがんは見つけにくいため、定期検診をするのがおすすめだ。■チェックポイント 体重が落ちる、食欲がなくなる、乳がんは胸部にしこりができる、胃や腸管のがんは下痢・嘔吐などの症状が出る。

【甲状腺機能亢進症】「バセドウ病」ににた症状。性差を問わず発症。

「がんと同じくバランスが崩れることで生じる甲状腺ホルモンの暴走です」人間の場合は女性に多いが、高齢猫は性差を問わず発症する。新陳代謝が過剰になりエネルギーを大量に消費するため、食欲旺盛になるが、体重が落ちることに。食欲の変化を見逃さないことが大切だ。■チェックポイント 多飲多尿、食べているのに痩せる、嘔吐・下痢、落ち着きがなくなる

【炎症性腸疾患(IBD)】免疫系に異常が生じ、下痢や嘔吐など消化器症状が表れる。

下痢がひどい場合に真っ先に疑われるのがこの病気。「自己免疫疾患の一つであり、リンパ球が増えてしまう病気です。残念ながら原因は不明であり、がんと同様に予防が難しいとされています。腸管が炎症を起こしているため、下痢や嘔吐などの消化器症状が慢性的に生じ、次第に衰弱することになります」■チェックポイント 下痢や嘔吐を繰り返す、とくに下痢が続く場合は要注意

【肥大型心筋症】突然死を引き起こす可能性あり。呼吸が荒くなったら、即病院へ。

心臓の筋肉が肥大して充分な心機能が保てなくなる病気。血栓ができやすくなるため、血管が詰まって突然死を引き起こす場合も。「遺伝的な側面もあるため遺伝子検査をすることで、リスクが高いか把握できる」という。症状の緩和はできるものの、治癒は難しい。■チェックポイント 呼吸が荒くなる、少し動いただけで息切れする、活動性が低下する

シニアになったら日常的にチェックしたいいくつかのこと。

シニア猫の異変にいち早く気づき、病気を見逃さないためには、日頃からよくチェックしておくことが大切だ。「まずは体重。見た目では変動が分かりにくいため体重計で量るクセをつけておくこと。肥満予防の意味もありますががんや腎臓病など体重が減ることによって発見できる病気も多くありますから」もちろん、食事量や飲水量、排泄量やその回数も合わせてチェックしよう。

また意外と見逃しがちなのが〝口の中〞。「猫には虫歯菌がいないため虫歯になることはありませんが、歯周病や歯肉炎、口内炎は多く見られます。歯茎が赤かったり、口が臭かったりしたら要注意。放っておくと口腔がんや腎臓病にもなりかねません。若いうちから歯磨きの習慣をつけておきたいですが、歳を重ねた猫に強いるのはかえってストレスに︒異変があった場合は獣医師に相談しましょう」

さらに目の輝きや毛づや、爪研ぎの回数も老化を推し量るサインになる。「歳をとるとぼんやりすることが多くなり、毛繕いが面倒になって、毛もバサバサに︒こまめに声をかけ、ブラッシング、爪切りをしてあげるようにしてください」血液検査などは7歳を過ぎたら毎年1回。10歳を過ぎたら年に2回ほど健診を受けることがおすすめだ。

歯茎に腫れや赤みがないか、歯垢が蓄積 していないか。口臭も合わせてチェック!

『クロワッサン』954号より

●山本宗伸さん 「TokyoCatSpecialists」院長/幼少期から大の猫好きで、東京・三田に猫専門の動物病院を開院。国際猫医学会ISFM所属。著書に『ネコペディア』(秀明出版会)がある。

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