50歳で小さな平屋に住み替えた、Rinさんの家づくりと住まい方。
撮影・黒川ひろみ 文・一澤ひらり
起きて、着替えて、洗顔。 朝の身支度はまっすぐな動線で。
昨年84平方メートルのマンション住まいから68平方メートルの家を建てて転居したRinさん。住まいはサイズダウンしたが、むしろすっきり広々、開放感満点の住宅だ。
「娘が独立して夫婦2人だけの生活になったので、2DKのコンパクトな平屋を建てたんです。とにかく家事がラクで過ごしやすい家にしたくて、平屋にしました。ケアマネジャーという仕事柄、ご年配者のお宅をたくさん見てきましたが、家じゅうモノがあふれて、2階建ての家だと2階は物置きになりがちです。それは階段の上り下りが億劫になるからなんですよね」
また、借りていた駐車場がすこし離れていたため、車から大荷物を抱えてマンションに運ぶ負担も住み替えの要因になったという。
「一軒家なら車を家の前に着けられて、荷物を簡単に運び込めますからね。15〜20年後は免許を返納すると思うけれど、それまでは快適に暮らしたいし、その先のことはまた見直せばいいかなって。まだ気力、体力がある50代のうちに過ごしやすい住まいにしたくて、老前整理を意識しつつ、荷物を半分に減らして引っ越しました」
新居はマンション時代より2割ほど狭くなったが、廊下を作らず居室から居室へ移動する省スペースの間取りで、動線もスムーズ。2DKは夫婦2人暮らしにはちょうどよい広さになった。
和室とダイニングを一体化、 空間に広がりをもたせる。
終の棲家のひとつ前の暮らし方。家事をラクにストレスなく生きる。
マンション住まいのころからRinさんは、シンプルに暮らすことを心がけてはきた。しかし……。
「見た目はきれいに片づいていても、引き出しや納戸にモノをびっしり詰め込んで、どこに何があるのかわからない状態。何か片づけ方のヒントが得られるかもと、軽い気持ちで始めたのが整理収納アドバイザーの勉強でした。そこで初めて自分が、使っていないものまで一緒に収納していたことに気がついたんです」
本来の収納とは、使うものを使いやすい場所に置くこと。Rinさんはモノを減らしていく過程で、何が必要なのかを見極めることができたという。
「50代はリセット適齢期ですね。ことに子どもの独立は住み替えを考えるチャンスになります。大切なのはどう暮らしたいか。この平屋は家事を極力ラクにして、清潔でストレスなく暮らすための家ですが、十数年後はさらにサイズダウンをしていくかもしれません。その変化も楽しんでいきたいですね」