「私は世界に日本人として生きたいと願う」と人生の約半分をフランス等で過ごした藤田嗣治。本展は欧米の主要美術館に収蔵された作品をはじめ、新出の資料など100点以上を展示。質量ともに史上最大級の回顧展と言える。
「藤田というと乳白色の裸婦や戦争の記録画を描いたという面で取り上げられることが多いですが、60年以上にわたって、ありとあらゆる技法に挑戦して作ることに捧げた人でした。今回は、これまで注目されてこなかった1930年代に中南米を旅行した際に描いた作品を紹介したり、日記や挿絵、暮らしで使う日用品として作られたお皿や器など、プライベートな藤田の一面も見られます」
そう語るのは展覧会の監修を務めた美術史家の林洋子さん。最初の渡仏時に描かれた静物画や乳白色の下地に進む前の人物画など藤田を語るうえでの貴重な作品も多いという。