くらし

京王線・明大前駅の大英堂製パン店で、懐かしい味の甘いパンを。

  • 撮影・宮濱祐美子 文・嶌 陽子

ロールパン

[ロールパン]110円  しっとりとした生地とアクセントのレーズンにファン多し。
1.生地にレーズンを混ぜ、甘みが引き立つよう、塩を少しふりかける。レーズンが均等に混ざるよう、麺棒で2回のばす。
2.生地を巻く。
3.包丁で均等に切り分けて、少しねかせてから窯へ。
4.焼き上がったロールパンはそれぞれ個性的。

アンパン

[アンパン]110円  程よい甘さのあんがぎっしり詰まって、食べ応え充分。
1.ヘラを使い、生地にあんを詰める。
2. 生地であんを包みこむ。「俺は不器用だから」と言う関さんだが、きれいな形が次々と完成。
3.窯に入れる前に、見分けがつくよう、こしあんには黒ごま、小倉あんには白ごまをふりかける。

クリームパン

[クリームパン]110円  素朴な味のカスタードクリームは 口に入れると、なぜかほっとする。
1.卵や小麦粉、牛乳などで作られたカスタードクリームを生地に詰める。
2.昔ながらのグローブ型。「本来、切れ目は4つだけど、うちはパンがほどよく膨らむように3つなの」

チョコレートパン

[チョコレートパン]110円 パン生地とチョコクリーム、 それぞれの甘さが相性よし。
1.牛乳や卵、ココアパウダーなどから作るクリームをたっぷりと詰める。「企業秘密なんて何もないよ」と、作り方を親切に教えてくれた。
2.細かく切り目を入れてから、窯へ。

カスタードホイップ

[カスタードホイップ]120円  するするとお腹におさまって、 子どもにも大人にも大人気。
1.自家製のホイップクリームは、ふわふわで、くどすぎない甘さ。数日分をまとめて作っておく。
2.細長いパンにクリームを詰める。気温の高い夏場は作らないそう。

「親父に言われたのは、『遅くてもいいから丁寧にやりなさい。パン作りはそんなに難しいもんじゃない。違うものがあるとしたら気持ちだ』ってこと。不器用な俺がパン屋になったのは、優しい親父が好きだったからだね」

昔は近隣の学校の生徒が朝から並んでいたが、今はそんな光景も見られなくなった。以前と比べるとお客さんはずいぶん減ったという。それでも、夜の7時ごろに買いに来る親子が数組いるから、早くに店は閉められないと笑う関さんは、先代に劣らず心優しい人だ。

「おいしくて安いから、長年通ってるの。関さんとのおしゃべりも楽しみ」
「子どもはカスタードホイップが大好物。口の周りを白くして食べてます」

取材中に出会ったお客さんの声からも、パンと関さんが愛されていることが伝わってくる。身も心もほどける甘いパンは、翌朝のおめざにするのもよし、すぐおやつにするのもよし。昭和の貴重な味と心意気を残すこの店が、少しでも長く続いてくれますように。

関 利博(せき・としひろ)●大英堂製パン店の2代目。タイマーの音が嫌いで、パンの焼き上がり時間などは長年の経験で培った感覚で計る。
大英堂製パン店(だいえいどうせいぱんてん)●東京都世田谷区松原2-29-20 TEL.03-3322 -0611 営業時間 9時〜20時(ロールパンから順次焼き上がり、全ての商品が揃うのは10時30分ごろ) 休日 日曜・祝日

『クロワッサン』971号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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