高校の同級生だったユキちゃんとは、四十路を迎える今も月1回はどこかへドライブに出かける。温泉、マッサージ、植物園。
わたしは免許を持っていないので、運転はユキちゃん頼み。気のおけない2人の楽しいひとときだが、たったひとつ、モヤモヤがある。
車の中のラジオ。ユキちゃんはFM派なのだ。
いや、わたしだって四六時中ラジオを聴いていたいわけではない。なにより、ユキちゃんの車に乗って、運転もしてもらっているのだから少しの間はFMを楽しめばいいのはわかっている。
しかし、だ。歯科医師である彼女の休日は日曜日。TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」がある日なのだ。安住さんの番組は放送後1週間聴くことのできる“タイムフリー”での放送をしていない。つまり、日曜の朝10~12時の間でないと聴けない。
ユキちゃんが迎えに来る間だけでも……と聴いたら最後だ。オープニングで安住節が炸裂していたり、投稿テーマが面白かったり、ゲストが伝説のオネエ御歳87歳の吉野ママだったりして……もうラジオから離れたくない……!
「ピンポーン」
あー! 今イイ所なのにーっ!
断腸の思いで家を出て、車に乗ると流れているのはFMの心地よい音楽。でも、ここで局を変えてもらったって、居心地を悪くするだけなのだ。ユキちゃんには、いつもの空間で気持ちよくドライブをしてもらおう。
月に1度の日曜日、わたしはラジオではなく友情を優先する。