くらし

79歳の自立生活を支える、北村光世さんのオリーブオイルのある食卓。

  • 撮影・小林キユウ 文・雪嶋恭子

オリーブオイルとの出合いは50年も前。恵みの油と聞いて……。

庭にはレモンの木も。ハーブや野菜を植え、収穫を楽しむ。季節を感じる庭仕事もひとりで行う。

「オリーブオイルのおいしさに出合ったのは、結婚してすぐの夏、夫とスペインに短期留学したときでした。野菜にかけるだけなのに、ものすごくおいしいサラダが出来上がってびっくりして。それ以来、オリーブオイルが身近になりました」
とはいえ、当時は珍しさのほうが先で、オリーブオイルの奥深さに気がついていなかったという。

そんな北村さんが、「伝道師」と自任するほどオリーブオイルにひかれたのは、イタリアでオリーブオイルの生産者と出会い、普段の食事に取り入れるようになってからだ。
「彼らはよく“オリーブオイルは神様が地中海地方の人々にくださった恵みの油だ”と言います。実際、彼らはオリーブオイルを使って豊かな感性で料理を創り出しています。彼らに触発されて、私もオリーブオイルで和食を作るようになったら、オリーブオイルの奥深い魅力に気がついたんです」

ひとつは、熱を加えずに使ったときのハーブのような香りと辛み。
「とにかく香りがいいですよね。私は“油性ハーブ”と呼んでいるくらい。オリーブオイルはハーブ同様の役割も果たすと思います」
そして、加熱したときに発揮される“素材の持つ旨みを引き出す力”。
「地中海式料理法では、炒め物は弱火でじっくり炒めるのが基本です。強火でさっと炒めて野菜の食感を残す中華料理の炒め方とは違います」
2色のピーマンを炒めながら、北村さんの説明は続く。
「弱火で気長に炒めていると、オリーブオイルがピーマンの旨みを上手に引き出していくので、砂糖やみりんなどの調味料を足さなくていい。塩分はコラトゥーラというアンチョビからつくられる魚醤をちょこっと入れるだけ」

すまし汁は、先にきんぴらごぼうを作っておいたものにお湯を注いでトマトを足すと出来上がる。
「オリーブオイルで炒めるとコクが生まれるからだしはいらないんです。豆を加えると栄養価の高い一品になるので、忙しい日の朝食は、このすまし汁とパンですね」

茹でブロッコリーや、さばの味噌煮などもオリーブオイルを使って作る。
さらに、オリーブオイルは揚げ物にしたとき、仕上がりが軽く、冷めてもおいしいのが特長だ。
「よく“もったいない”と言う人もいますけど、オリーブオイルで天ぷらを揚げてもさほど油が減らないんです。魚介類を揚げてもニオイが移らないから3〜4回は使います。最後は炒め物などをして使い切ることを考えると、そんなに贅沢ではないと思う」

さばの味噌煮 ローリエ風味
さばに小麦粉をまぶし、ローリエで香りをつけたオリーブオイルでこんがり焼き、水と甘めの味噌を加えて煮るだけ。皮がはがれずきれいに仕上がる。

きんぴらごぼう
ごぼうと人参をオリーブオイルでじっくり炒め、蓋をして3分ほど蒸し焼きにしてふっくらさせたら、コラトゥーラ(魚醤)で味付け。

きんぴらごぼうとトマトのすまし汁
オリーブオイルで炒めたきんぴらごぼうに水を加えて作るすまし汁。オリーブオイルが旨みになり出汁いらず。トマトと茹でた豆も加えれば栄養価もアップ。

2色ピーマンのじっくりオリーブオイル炒め
オリーブオイルの香りや質を損なわないように弱めの中火でじっくり炒める。すると、ピーマンの甘み、旨みも引き出され、野菜とオリーブオイルのハーモニーが楽しめる。

ブロッコリーのオリーブオイル茹で
湯に塩少々とオリーブオイルを入れて茹でると、色鮮やかでツヤのある仕上がりに。旨みを引き出すよう長めに茹で、網杓子でオイルを纏わせるようにすくうのがコツ。

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