「酢や柑橘果汁を使った、酸っぱい料理が大好きなんです」
と、ワタナベマキさん。
「酸味は食欲を増してくれるうえ、少し加えるだけで味わいに奥行きが生まれます。つい何にでも入れたくなるので、気づけばおかずが酸っぱいものだらけになることも」
それでも食べ飽きないのは、酢や柑橘自体にバリエーションがあるから。それぞれ酸度や香りが違い、料理ごとに使い分けるのが楽しいという。
「例えばきりっとした味わいに仕上げたいときは穀物酢を多めに加え、香りを立たせたいときは柑橘果汁を。いくつかの酸味を組み合わせて使うことも多いです。また、お酢は加熱するとコクやうまみが増して酸味もまろやかになるので、煮物や炒め物にも活躍します。酸っぱいものが苦手な男性や子どもも、喜んで食べてくれますよ」
料理をおいしくするだけでなく、塩分が控えめでも満足感が得られて減塩につながる、血糖値を下げる働きがあるなどのメリットも。
「菌の活動を抑えてくれるので、保存効果も期待できます。どんな食材とも合いますが、とりわけ夏の、みずみずしく香りがしっかりある野菜とは好相性。作り置き料理にもおすすめです」
“酸味マスター”のワタナベさんが日々作っているというレシピと、酢や柑橘を使った便利な常備菜とそのアレンジ方法を教えてもらった。メイン料理に箸休め、ごはんものもあり。レパートリーが広がれば、大びんを使い切れずに酢が古くなってしまった、なんてこともなくなるはず。目にも鮮やかな旬の野菜にたっぷりの酢や柑橘果汁を組み合わせて、今年の夏は食卓をとびきり爽やかに。