くらし

経済的な理由で夫と離婚できません。【専門家がアドバイスする夫婦の悩み相談】

「離婚したい」「自立して卒婚」「夫のこんなところが嫌」……。読者の悩みに医師の石蔵文信さんと臨床心理士の信田さよ子さんが答えます。
  • 撮影・森山祐子(信田さん) 文・後藤真子

経済的な理由で夫と離婚できません。(53歳)

20年以上一緒に暮らしてきましたが、夫は自分勝手で人とのコミュニケーションがうまくできない人です。私はずっとパートをしながら家事、子どもの世話を全部ひとりでやってきました。下の子どもが手術、骨折と何度も入院しているのですが、病院に付き添うこともなく、入院中の面会にも一度も来たことがありません。とがめると、「俺がいなかったら、メシが食べられないだろう」と怒りだします。現在は私の体調が悪くずっと病院通いです。経済的に離婚することもできず、家庭内別居状態です。夫には優しさ、思いやりのかけらも感じられません。

石蔵さんのアドバイス

私から見れば一般の男性はだいたいこんなものですし男性にコミュニケーション能力はないので多くは期待できません。自分の何気ない言葉が妻を傷つけているという自覚がないのです。だから、夫は仕事をしてある程度稼いできたらOKくらいに考えてください。離婚が難しいなら、家庭内別居を続けながら自分のやりたいことをしてストレスを減らしましょう。いい妻でいる必要はないので、昼ごはんも作らず勝手に出かけてしまってください。

信田さんのアドバイス

「俺がいなかったらメシが食べられないだろう」という言葉だけでも離婚理由になります。この夫婦関係に耐えていくことをよしとするのか、新しく踏み出すのか。いずれにしても覚悟が必要です。まず今までのことを、家族問題に強いカウンセラーに聞いてもらいましょう。夫と離れるのは悪いことじゃない、と思えるようになるかも。公的な支援を受けるなど、方法はきっと見つかります。

石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)● 大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授。循環器専門医。心療内科医。定年後男性の生活自立を目的とした料理教室を開催。著書に『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか』(幻冬舎新書)ほか。
信田さよ子(のぶた・さよこ)● 臨床心理士。’95年、原宿カウンセリングセンターを設立。依存症、DV、アダルトチルドレンなどの問題に取り組んでいる。著書に『家族収容所―愛がなくても妻を続けるために』(河出書房新社)ほか。

『クロワッサン』964号より

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