くらし

夫の借金癖に困っています。【専門家がアドバイスする夫婦の悩み相談】

「離婚したい」「自立して卒婚」「夫のこんなところが嫌」……。読者の悩みに医師の石蔵文信さんと臨床心理士の信田さよ子さんが答えます。
  • 撮影・森山祐子(信田さん) 文・後藤真子

夫の借金癖に困っています。(39歳)

結婚してすぐに薄々感じていましたが、夫はその場でもっているお金をすべて散財してしまうタイプです。年々同僚との飲み会がふえていき、毎晩のように遅くまで飲み歩き、ついに借金してのキャバクラ通いが発覚しました。発覚するまで、タクシー代や飲み会代を私に要求し続け、結果、私が生活費のためにキャッシングをすることもありました。
たまりかねて離婚を切り出しましたが、夫の両親が借金をたてかえてくれ、私の両親も離婚に反対だったため考え直して夫との生活を再構築中です。
しかし、夫の借金癖は独身時代からのもので、そのたびに夫の両親が尻拭いをしていたことを最近知りました。今後改められるとは思えず、夫と未来を共にする気持ちが揺らいでいます。息子を甘やかしたあげく、息子は叱らずに嫁の私に嫌味を言ってくる義理の母にも嫌悪感を感じてしまいます。私が頑張って夫とも義理の母とも仲良くすべきなのかもしれないと悩みながら、義理の母が関わってくるとまるで爆弾が点火されたかのように怒りがこみあげてきて、精神のバランスがおかしくなりそうです。
夫の稼ぎだけでは生活が回らない状態です。出て行きたい衝動を感じますがその後の生活を考えると踏み出せません。そんな葛藤に加え、義理の母のことでイライラすることが多く、毎日疲れきってしまいます。

石蔵さんのアドバイス

「夫のお金の使い方が常軌を逸している。それを助長しているのが夫の母」と相談者は言っているのですが、行動の原因論を探っていると、そちらに足をすくわれてしまいます。こういう状況で大事なのは、「一番解決しやすい問題を優先する」こと。この場合はお金です。夫の浪費癖は依存症(アディクション)のひとつなので、妻が努力する程度では解決しないかもしれない。依存症の専門家のところに行ってほしいと夫に言ってください。その時「あなたと親の関係が」というようなことは言わないほうがいい。夫の両親にも夫は依存症という共通認識を持ってもらうためにもそうしてください。その上で、一番困っている当事者である相談者も同じところでカウンセリングを受けましょう。

信田さんのアドバイス

まずは、夫の使えるお金に制限を設ける。小遣いは渡すが現金や通帳、お金を借りられる保険証などを妻が管理することです。それに夫が反対するようなら、これ以上一緒にいても妻が苦労するだけですので別居や離婚を考えたほうがいいでしょう。この精神状態のまま耐え続けていると、心身ともに病気になってしまいます。

石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)● 大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授。循環器専門医。心療内科医。定年後男性の生活自立を目的とした料理教室を開催。著書に『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか』(幻冬舎新書)ほか。
信田さよ子(のぶた・さよこ)● 臨床心理士。’95年、原宿カウンセリングセンターを設立。依存症、DV、アダルトチルドレンなどの問題に取り組んでいる。著書に『家族収容所―愛がなくても妻を続けるために』(河出書房新社)ほか。

『クロワッサン』964号より

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