くらし

離婚後の生活を準備中です。【専門家がアドバイスする夫婦の悩み相談】

「離婚したい」「自立して卒婚」「夫のこんなところが嫌」……。読者の悩みに医師の石蔵文信さんと臨床心理士の信田さよ子さんが答えます。
  • 撮影・森山祐子(信田さん) 文・後藤真子

離婚後の生活を準備中です。(52歳)

結婚して25年、夫とは子どもの教育についての価値観の違い、生活のリズムなどさまざまな食い違いにより、10年ほど前から家庭内別居状態になりました。夫の顔を見るのもイヤで、話をすれば必ずケンカになります。25歳になる長男と14歳の長女がいますが、子どもたちにケンカの現場を見せて悪い影響が出てはいけないと、夫とは一切話をしないようになりました。夫というのはやはり他人なんだとしみじみ思います。今はこの生活で問題ないのですが、子どもたちが自立したあとの夫婦だけの生活を想像できないし、したくもありません。
ずっと共働きで、財布はそれぞれで管理しています。マンションのローンは夫、生活費や子どもたちの教育費はすべて私が払っています。ある時、夫がすでにマンションのローンを払い終わったのに黙っていることに気づきました。教育費を夫にも出してもらえないか聞いても取り合ってくれません。腹が立って、それから夫の食事を作るのをやめました。
実は5年ほど前に夫に内緒で海外にマンションを購入しました。老後は温暖な地でひとりのんびり暮らそうかと思いますが、知らない土地で老後に新しい人間関係や生きがいを見つけられるのか心配もあります。また、もし離婚となった時に、これまで私が支払ってきた生活費、子ども2人の私立学校の学費や塾の費用は財産分与などにおいて考慮されるのか気になります。

石蔵さんのアドバイス

下のお子さんが14歳ですから気を使う必要はありません。経済力があるのでどのタイミングで離婚するかはっきりしたほうがいいですね。新しい生活を始めるなら、少しでも早いほうがいいですよ。新生活は海外もよいですが人間関係ができないと寂しい生活になってしまいます。仕事をもつ女性は地域の知人が少ない場合が多いのです。まずは、仕事以外の人間関係を作ってみてください。

信田さんのアドバイス

夫婦の関係はすでに破綻しているも同然です。それでも離婚に踏み切れない原因は、たとえ経済的依存や子どもの問題がなくても、今の日本社会では夫がいることによって守られるものがあるからでしょう。ひとりで生きていかねばならない、という強迫観念や恐怖、それが一番の難敵です。この人に必要なのは離婚に関して似たような状況にある、年齢が近い友人です。財産分与などの問題は個人の状況により違ってくるので弁護士に相談を。ただし弁護士選びは慎重に。「あなた、こんなに経済力があるんだからいいでしょ」などと、非常に女性に冷たい弁護士も多いので、女性の側についてくれる人を見つけましょう。

石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)● 大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授。循環器専門医。心療内科医。定年後男性の生活自立を目的とした料理教室を開催。著書に『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか』(幻冬舎新書)ほか。
信田さよ子(のぶた・さよこ)● 臨床心理士。’95年、原宿カウンセリングセンターを設立。依存症、DV、アダルトチルドレンなどの問題に取り組んでいる。著書に『家族収容所―愛がなくても妻を続けるために』(河出書房新社)ほか。

『クロワッサン』964号より

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