「懐かしい味の甘いパン。」で取材した東京・明大前の大英堂製パン店は、昔ながらのたたずまいを残す内外観に加えて、今も対面式販売を続ける、昭和遺産と呼べる店。
店を切り盛りする67歳の関利博さんは日曜・祝日をのぞいて、毎朝6時すぎから4kg分の生地をこね、160個、20種類あまりのパンをひとりで作っている。アンパン、クリームパン、カスタードホイップなどに加えて、手作りのポテトサラダやタマゴパン、あるいは焼きそばパンやコロッケパンなど総菜パンも豊富。どれも素朴で優しい味わいだ。
とりわけ、僕が注目したのは「クリームボール」。
クリームを練り込んだパンを油で揚げたもので、一見すると丸いコロッケのような形状。かぶりつくと、揚げパンならではのカリカリ、サクサクした食感とともに甘いクリームが口のなかに広がり、思わず顔がほころぶ味わいだ。