『劇場の子 イーディス・ハラー』エドワード・ケアリー 著 古屋美登里 訳──劇場で育った少女が挑む町を守るための戦いとは
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
エドワード・ケアリーは、新刊が出ると必ず読む作家のひとり。著者の想像力が炸裂するダークで豊かな世界が広がり、読書に没入させてくれる書き手だ。
本作の舞台は20世紀初頭のイングランド、ノリッジという町にあるハラー劇場。ここの支配人であり俳優であり演出家エドガーの娘、イーディスは病弱なうえ、幼い頃に呪いをかけられて劇場から一歩も外に出ない生活を送り、現在12歳。数々の本を読んできた彼女は非常に聡明で観察力があり、街の子どもたちが消えていること、それには町で巨大企業を営むアティング家が関わっていることにいきあたる。
劇場から出られない彼女はその事実を皆に知らせる手段として、芝居を書き上げる。そんな折、父親がアティング家のマーガレットと再婚。継母がやってきてから、イーディスの日常は一変してしまう。
劇場の内部の様子やそこで働く人々が細やかに生き生きと描かれ、演劇にまつわるエピソードももりだくさん。一人の少女が奮闘し成長していく姿と同時に、芝居の魅力と本質を浮かび上がらせる。
いつものようにちょっと不気味なイラストもたっぷり。ケアリー劇場、どっぷり堪能しました。
『クロワッサン』1175号より
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