『純文学って何だよ』鴻池留衣 著──作家たちが語り合う彼らの文学観や創作観
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
昨今、純文学とエンタメ小説(大衆文学)をはっきり線引きするのはナンセンスという風潮が強いと感じている。個人的には「一文一文に留まらせるもの」が前者で、「先を急がせる牽引力のあるもの」が後者というイメージを持ってきたが、その限りではないのが実情だ。
なので本書はタイトルに惹かれて購入した。作家の著者が毎回同業者を招いて語る対談集である。登場するのは高瀬隼子、町屋良平、高山羽根子、砂川文次、尾崎世界観、石田夏穂、川本直、永井みみ、田中慎弥。毎回お酒を飲みながら実施されており、リラックスしての対話が面白い。たとえば以前から町屋さんは自他作品の分析力が半端ないと思っていたが、この対談でも数々の言葉にはっとした。
純文学の定義も小説観も人それぞれ。何を書くかが最初から明晰な印象の方もいれば、書くことで明晰化するタイプの方もいる。
読者や周囲の反応などについても率直に語られており、一読者として、一インタビュアーとして、一レビューの書き手として、ちょっと耳が痛いところも。一作一作、もっと丁寧に読みこまねば……と反省した。とはいえ、さまざまな角度から楽しく学べたのだった。
『クロワッサン』1174号より
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