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〈暮らしにとけ込む、骨董と古道具。vol.3〉骨董市でいいものを見つけて楽しむ方法

第3回は骨董市でお店をめぐります。いろいろなタイプの骨董屋さんを一度に気後れなく見られるのが骨董市の良さです。東京・新宿下落合氷川神社で開催される下落合氷川蚤の市で個性豊かな骨董屋さん6軒を取材しました。

取材/撮影/文・二階堂千鶴子

〈暮らしにとけ込む、骨董と古道具。vol.3〉骨董市でいいものを見つけて楽しむ方法

下落合氷川蚤の市は2025年3月から始まって、今年で2年目の新しい骨董市。30〜40店舗が出店されています。東京の骨董市でどこが面白いか知り合いの骨董屋さんに聞いたところ、最近話題と勧められました。ここで仕入れていると話す骨董屋さんもいて、早朝は骨董屋さんが一般の方に混じっているそう。プロにも評価の高い骨董市です。

広報の児玉さんは、「下落合氷川蚤の市は目の確かな、古美術に精通している骨董商が出店してくれています。目利きが揃っていますから、しっかりしたものが見つかります」。

骨董市の楽しみ方を児玉さんに伺ったところ、「骨董屋さんは骨董が大好きな人たちなので、骨董のわからないことをどんどん聞いたり、好きなものを見つけてその魅力を語り合ったりするのも面白いですよ」。

紹介したアンティークは一点もので、すでに売り切れている場合があります。ご了承ください。価格は税込です。

布と玩具LUNCO(ランコ)

店主の永田欄子さん。「日本の染色には独特の情緒があります」
店主の永田欄子さん。「日本の染色には独特の情緒があります」
昔の日本の格子は色使いもおしゃれ
昔の日本の格子は色使いもおしゃれ
やたら縞。残った糸でやたらに織っていくのでこの名称。裏表の風合いが違って、使用する糸によって微妙に色が変化する
やたら縞。残った糸でやたらに織っていくのでこの名称。裏表の風合いが違って、使用する糸によって微妙に色が変化する
江戸末期から明治初めごろの麻の型染め。型紙を使って表からも裏からも染める両面染め。全くズレがない職人技。菊や桜の花丸、蝶とその羽根の中に千鳥と青海波など模様も凝っている
江戸末期から明治初めごろの麻の型染め。型紙を使って表からも裏からも染める両面染め。全くズレがない職人技。菊や桜の花丸、蝶とその羽根の中に千鳥と青海波など模様も凝っている
明治の終わりから大正の麻の絣。コウモリ傘の隣に蝙蝠や蛇の目傘も。気の利いた面白い柄
明治の終わりから大正の麻の絣。コウモリ傘の隣に蝙蝠や蛇の目傘も。気の利いた面白い柄
店主の永田欄子さん。「日本の染色には独特の情緒があります」
昔の日本の格子は色使いもおしゃれ
やたら縞。残った糸でやたらに織っていくのでこの名称。裏表の風合いが違って、使用する糸によって微妙に色が変化する
江戸末期から明治初めごろの麻の型染め。型紙を使って表からも裏からも染める両面染め。全くズレがない職人技。菊や桜の花丸、蝶とその羽根の中に千鳥と青海波など模様も凝っている
明治の終わりから大正の麻の絣。コウモリ傘の隣に蝙蝠や蛇の目傘も。気の利いた面白い柄

古い布の魅力、色や風合いに触れてほしい

店主の永田欄子さんが選んだ藍木綿、藍の麻の布は定評がある。布が好きで、ヨーロッパやアジアを旅して、優れた布をいろいろ見て改めて日本の染色はすごいと見直したと。

幕末から昭和初期の縞や格子、型染めの柄も古さを感じないばかりか逆に現代的だ。永田さんは古い布の魅力を落ち着いた色と柔らかい風合いと語る。幅や長さはそれぞれ違う。

「外国人はスカーフのように首に巻いたり、食卓でテーブルセンタークロスとしてインテリアでも楽しんでいます」

http://www.lunco.net/
Instagram:@lunco_kimono

ギャラリー孝(こう)

古伊万里をメインに扱う。蕎麦猪口も人気。珍しいものをコレクター向けに揃えている
古伊万里をメインに扱う。蕎麦猪口も人気。珍しいものをコレクター向けに揃えている
古伊万里 桜花草紙文輪花形中皿。3万円
古伊万里 桜花草紙文輪花形中皿。3万円
雪輪という模様が愛らしく、ちょっとつまんだような口縁がいい。藍柿(あいがき)雪輪文稜花形(ゆきわもんりょうかがた)中皿。2万円
雪輪という模様が愛らしく、ちょっとつまんだような口縁がいい。藍柿(あいがき)雪輪文稜花形(ゆきわもんりょうかがた)中皿。2万円
色絵三ツ組鉢。同じ柄の大中小セットで8,000円
色絵三ツ組鉢。同じ柄の大中小セットで8,000円
赤玉瓔珞文(あかだまようらくもん)鉢。1万8000円
赤玉瓔珞文(あかだまようらくもん)鉢。1万8000円
赤玉瓔珞文(あかだまようらくもん)鉢を裏側から見たところ。丸みを帯びた形がいい
赤玉瓔珞文(あかだまようらくもん)鉢を裏側から見たところ。丸みを帯びた形がいい
豆皿、小皿、変形皿など、手頃な価格でちょっと変わった形の皿を気軽に取りいれるのも、食卓の目先が変わって面白い。1,000円から1万5000円ぐらいまで
豆皿、小皿、変形皿など、手頃な価格でちょっと変わった形の皿を気軽に取りいれるのも、食卓の目先が変わって面白い。1,000円から1万5000円ぐらいまで
店主の田中孝樹さん。室内催事に出店する際はコレクターに対応した商品構成で、また違った陶磁器に出会えそうだ
店主の田中孝樹さん。室内催事に出店する際はコレクターに対応した商品構成で、また違った陶磁器に出会えそうだ
古伊万里をメインに扱う。蕎麦猪口も人気。珍しいものをコレクター向けに揃えている
古伊万里 桜花草紙文輪花形中皿。3万円
雪輪という模様が愛らしく、ちょっとつまんだような口縁がいい。藍柿(あいがき)雪輪文稜花形(ゆきわもんりょうかがた)中皿。2万円
色絵三ツ組鉢。同じ柄の大中小セットで8,000円
赤玉瓔珞文(あかだまようらくもん)鉢。1万8000円
赤玉瓔珞文(あかだまようらくもん)鉢を裏側から見たところ。丸みを帯びた形がいい
豆皿、小皿、変形皿など、手頃な価格でちょっと変わった形の皿を気軽に取りいれるのも、食卓の目先が変わって面白い。1,000円から1万5000円ぐらいまで
店主の田中孝樹さん。室内催事に出店する際はコレクターに対応した商品構成で、また違った陶磁器に出会えそうだ

骨董市には普段使いできる古伊万里や藍柿の器を

骨董市で気になるのは陶磁器の店。店主の田中孝樹さんは、17世紀後半の柿右衛門や色絵といった盛期の伊万里といわれる磁器を好んで扱っている。柔らかな白地に上品で華やかな模様が特徴。骨董市には普段使いしやすい大きさや形の器、手頃な価格のものを持ってくるという。値引き交渉にも応じてもらえるそうで、骨董市らしい楽しみも体験できる。

Instagram:@gallery_kou.1027

タダコレコレ 古道具

安南染付茶碗。滲みの多い淡い藍色の染付が味わい深い。こんなに気に入ったものはなく、ずっと手元に置いていたのだが今回出してみようかと思ったそうだ。5万5000円
安南染付茶碗。滲みの多い淡い藍色の染付が味わい深い。こんなに気に入ったものはなく、ずっと手元に置いていたのだが今回出してみようかと思ったそうだ。5万5000円
ブルズアイ(牛の目)と呼ばれる、17~18世紀のヨーロッパで作られた装飾ガラス。真ん中の厚い部分は色が濃くなっている。円形が多いが、これはカットされていて珍しい。4万5000円
ブルズアイ(牛の目)と呼ばれる、17~18世紀のヨーロッパで作られた装飾ガラス。真ん中の厚い部分は色が濃くなっている。円形が多いが、これはカットされていて珍しい。4万5000円
ルーマニアの屋根瓦。経年変化でまるでキリスト像か仏様のような景色が左上に浮かんでいる。2万5000円
ルーマニアの屋根瓦。経年変化でまるでキリスト像か仏様のような景色が左上に浮かんでいる。2万5000円
大正から昭和初期に作られた水筒。日本製。形も面白いが、錆の質感が良くて上品でさりげなさもあると。まるで抽象画のよう。1万5000円
大正から昭和初期に作られた水筒。日本製。形も面白いが、錆の質感が良くて上品でさりげなさもあると。まるで抽象画のよう。1万5000円
店主の佐野さん。「自分の目でいいなと感じたものを、骨董だけでなく現代作家さんの作品も扱っています」
店主の佐野さん。「自分の目でいいなと感じたものを、骨董だけでなく現代作家さんの作品も扱っています」
安南染付茶碗。滲みの多い淡い藍色の染付が味わい深い。こんなに気に入ったものはなく、ずっと手元に置いていたのだが今回出してみようかと思ったそうだ。5万5000円
ブルズアイ(牛の目)と呼ばれる、17~18世紀のヨーロッパで作られた装飾ガラス。真ん中の厚い部分は色が濃くなっている。円形が多いが、これはカットされていて珍しい。4万5000円
ルーマニアの屋根瓦。経年変化でまるでキリスト像か仏様のような景色が左上に浮かんでいる。2万5000円
大正から昭和初期に作られた水筒。日本製。形も面白いが、錆の質感が良くて上品でさりげなさもあると。まるで抽象画のよう。1万5000円
店主の佐野さん。「自分の目でいいなと感じたものを、骨董だけでなく現代作家さんの作品も扱っています」

静けさのある、佇まいがいいものに惹かれる

店名は江戸時代の禅僧で歌人、書家などでも有名な良寛和尚の言葉から。ありのまま、見たままという意味だそうだ。

店主の佐野塊さんは時代や国にとらわれず、静けさを感じるもの、佇まいが主張しすぎないものに惹かれる。台に並べられたものを一つ一つ見ていると、それが何かというよりそのものが持つ美しさや不思議な魅力に気づかされる。

Instagram:@tadakorekore

うまこし

店主の馬越さんは2009年から骨董屋を始めた
店主の馬越さんは2009年から骨董屋を始めた
庶民が祈りを込めながら彫った東北の民間仏。いいお顔。拙さが逆に魅力。「今のようなストレスがいっぱいの毎日、手元にあると心が癒される感じがします」と、馬越さん
庶民が祈りを込めながら彫った東北の民間仏。いいお顔。拙さが逆に魅力。「今のようなストレスがいっぱいの毎日、手元にあると心が癒される感じがします」と、馬越さん
取材時はたまたま縄文時代の土偶の胸の部分を出品。どんなお顔をしていたのか、残欠に惹かれる馬越さんが想像をかき立てられるのもわかる
取材時はたまたま縄文時代の土偶の胸の部分を出品。どんなお顔をしていたのか、残欠に惹かれる馬越さんが想像をかき立てられるのもわかる
店主の馬越さんは2009年から骨董屋を始めた
庶民が祈りを込めながら彫った東北の民間仏。いいお顔。拙さが逆に魅力。「今のようなストレスがいっぱいの毎日、手元にあると心が癒される感じがします」と、馬越さん
取材時はたまたま縄文時代の土偶の胸の部分を出品。どんなお顔をしていたのか、残欠に惹かれる馬越さんが想像をかき立てられるのもわかる

暮らしの中で使い込まれたものが好きですね

ともに長く暮らしたくなる骨董。それはしまいこまないで使ってもらえる、座辺にあるといいなと思えるもの。特に売れるものは追いかけない、自分の好きなものを選んでいる。

「錆びたり朽ちたり、暮らしの中で使い込まれたものが好きですね。あと残欠(ざんけつ)。欠けた部分に想像が掻き立てられますね。縄文時代の土偶の胸の残欠を見ているとどんなお顔していたのだろうって」と話す店主の馬越美枝子さん。

Instagram:@umakoshi_antique

薬堂(くすりどう)

日本の明治から戦前までの薬瓶3,000円〜5,000円
日本の明治から戦前までの薬瓶3,000円〜5,000円
シートにはブリキのおもちゃ、和ガラス(価格は1,000円〜数万円)、ビー玉(1袋8,000円)人形など、楽しい品揃え
シートにはブリキのおもちゃ、和ガラス(価格は1,000円〜数万円)、ビー玉(1袋8,000円)人形など、楽しい品揃え
フランス製ブリキの飛行機。1万5000円
フランス製ブリキの飛行機。1万5000円
護符2,000円~2万円 動物の護符(冊子)1,500円 江戸・明治・大正 和ガラスコレクション(冊子)1,650円
護符2,000円~2万円 動物の護符(冊子)1,500円 江戸・明治・大正 和ガラスコレクション(冊子)1,650円
店主の児玉さん。下落合氷川蚤の市の広報担当。COTTOU.JPというサイトを運営していて、動物の護符、ガラス骨董商のコレクションの冊子を発行。骨董市の店頭でも販売している
店主の児玉さん。下落合氷川蚤の市の広報担当。COTTOU.JPというサイトを運営していて、動物の護符、ガラス骨董商のコレクションの冊子を発行。骨董市の店頭でも販売している
日本の明治から戦前までの薬瓶3,000円〜5,000円
シートにはブリキのおもちゃ、和ガラス(価格は1,000円〜数万円)、ビー玉(1袋8,000円)人形など、楽しい品揃え
フランス製ブリキの飛行機。1万5000円
護符2,000円~2万円 動物の護符(冊子)1,500円 江戸・明治・大正 和ガラスコレクション(冊子)1,650円
店主の児玉さん。下落合氷川蚤の市の広報担当。COTTOU.JPというサイトを運営していて、動物の護符、ガラス骨董商のコレクションの冊子を発行。骨董市の店頭でも販売している

薬瓶やブリキのおもちゃ、ビー玉、和ガラスなど賑やかで楽しい

日本の昔の青い薬瓶、日本や海外の飛行機や車、ロボットやなどのブリキのおもちゃ、ビー玉、明治、大正、昭和初期の和ガラス、蕎麦猪口などいろいろ賑やかで一つ一つ見ていると楽しくなってくる。最近は木版の動物の護符を始めましたと、店主の児玉明久さんは話す。

動物の護符は神社やお寺などが頒布したもの。人気の狼の護符は盗賊除け、病除け、火除け、猫の護符は養蚕のための鼠除けなど様々なご利益の護符が発行されていた。

Instagram:@cottoujp

自問自答

木彫の恵比寿さま。鯛は抱えているが、竿は無くなってしまったよう。顔立ちから江戸時代以前のよう。5万円
木彫の恵比寿さま。鯛は抱えているが、竿は無くなってしまったよう。顔立ちから江戸時代以前のよう。5万円
阿弥陀坐像。室町期の金銅仏(こんどうぶつ)。3cmぐらい。触られたりしながら時代を経て丸みを帯びて。4万5000円
阿弥陀坐像。室町期の金銅仏(こんどうぶつ)。3cmぐらい。触られたりしながら時代を経て丸みを帯びて。4万5000円
千体仏。鎌倉から室町時代。10cmぐらいが多いが、これは3cmぐらいのミニサイズ。着色されていたのが、少し残っている状態。6万円
千体仏。鎌倉から室町時代。10cmぐらいが多いが、これは3cmぐらいのミニサイズ。着色されていたのが、少し残っている状態。6万円
店主の品田智宏さん。好きが高じて会社員から出店するようになって10年
店主の品田智宏さん。好きが高じて会社員から出店するようになって10年
木彫の恵比寿さま。鯛は抱えているが、竿は無くなってしまったよう。顔立ちから江戸時代以前のよう。5万円
阿弥陀坐像。室町期の金銅仏(こんどうぶつ)。3cmぐらい。触られたりしながら時代を経て丸みを帯びて。4万5000円
千体仏。鎌倉から室町時代。10cmぐらいが多いが、これは3cmぐらいのミニサイズ。着色されていたのが、少し残っている状態。6万円
店主の品田智宏さん。好きが高じて会社員から出店するようになって10年

手のひらサイズの小さな仏像をお守りに

骨董市でしか気軽に触れる機会がないのが仏像。仏教美術が好きで仏像や神像など集めていたら、いつの間にか売る立場になったという店主の品田智宏さん。

「古いほどいいけれど、そんなにこだわらず、これは可愛いと感覚で自分も選んでいます。形や表情がリアルでなくて抽象的なものがいいですね」

棚に目の保養として飾ったり、懐にしまってお守りにしたりと小さいものを選ばれるお客様も多いという。

Instagram:@shinada_antiques

路面で店を構えた骨董屋さんは敷居が高くてちょっと、という人には骨董市はおすすめです。時間をかけてゆっくり眺めて気に入ったものを見つけたり、気軽に骨董屋さんとおしゃべりしていろいろ教えてもらったり。古いものがさらに身近に感じられるのではないでしょうか。

下落合氷川蚤の市
https://antique-shimoochiai.com
開催日 毎月第2日曜日(雨天中止・日程変更の月あり)  
時間:8時〜15時 
会場:新宿下落合氷川神社(東京都新宿区下落合2-7-12)

  • 二階堂千鶴子 さん (にかいどう・ちづこ)

    クロワッサン編集長を2004〜2013年までつとめ、現在は骨董店『アンティークワッツ?』を営む。

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