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古道具や工芸品、家具やアートまで。千年の都で骨董ことはじめ

店主それぞれの美意識が満ちる空間で、歴史ある街に暮らす人々の審美眼に育まれてきた骨董を手に入れたい。

撮影・福森クニヒロ 構成&文・大和まこ

新門前|戀壺洞(れんこどう)

整然と並ぶ蕎麦猪口は7,000円〜。金継ぎが施されたものもあり、大切に使われてきたことが伝わってくる。
整然と並ぶ蕎麦猪口は7,000円〜。金継ぎが施されたものもあり、大切に使われてきたことが伝わってくる。

やわらかさと凛とした表情とを、兼ね備えた古伊万里が揃う。

知恩院へ続く参拝道でもある新門前通は京都きっての骨董通。その通りに控えめに佇む『戀壺洞』には、染付や白磁の古伊万里を中心に、李朝や古九谷の器が並ぶ。店主の関川紳子さんがセレクトするのは、美しいフォルムのなかに愛らしさやモダンさが漂うもの。使うための勝手のよさがあることも、関川さんが大切にすることのひとつ。柔和な表情を持つ白磁、伝統文様が規則正しく描かれた染付など、現代作家の作品や北欧デザインとも相性がいい。日々の暮らしを上質にする出合いを。

父の後を継いで店を営む関川さんが幼い頃より養われた審美眼で選び抜いた器は、ひとつひとつ見ごたえがある。
父の後を継いで店を営む関川さんが幼い頃より養われた審美眼で選び抜いた器は、ひとつひとつ見ごたえがある。
梅や竹が陽刻された古九谷七寸皿、菊の陽刻が入った輪花なます皿などの白磁。
梅や竹が陽刻された古九谷七寸皿、菊の陽刻が入った輪花なます皿などの白磁。

◆京都市東山区新門前通西之町227 
TEL.075・525・2121 
営業時間:12時〜17時 火曜休、ほか不定休 
京阪「三条」駅から徒歩約5分。

縄手通|ちんぎれや

コレクションにするのはもちろん、仕覆(しふく)などにも使える唐木綿や銀襴(ぎんらん)、紹巴(しょうは)などの古裂。
コレクションにするのはもちろん、仕覆(しふく)などにも使える唐木綿や銀襴(ぎんらん)、紹巴(しょうは)などの古裂。

布の骨董に触れる喜びを知る、美意識が凝縮する小さな名店。

ヨーロッパやインドからきた古渡(こわたり)更紗、日本の和更紗、各地で育まれた織物や染め物。時を経て受け継がれてきた、貴重な布の骨董が古裂(こぎれ)である。明治35(1902)年の創業以来、4代続く『ちんぎれや』には江戸から明治のものを中心にした古裂や、その魅力を伝えるべくオリジナルで仕立てたがま口などの小物が並ぶ。

和更紗の小物たち。右から、がまぐち小2,000円〜、豆がまぐち1,500円〜、小物入れ3,500円〜。小物入れはスマホのモバイルバッテリーやコードなどを入れるのにもいい。
和更紗の小物たち。右から、がまぐち小2,000円〜、豆がまぐち1,500円〜、小物入れ3,500円〜。小物入れはスマホのモバイルバッテリーやコードなどを入れるのにもいい。
小札入れ3,300円〜はマチがあるためカード入れにも。
小札入れ3,300円〜はマチがあるためカード入れにも。

一枚ごとに異なる表情を愛で、布が持つストーリーへ想いを馳せるには手のひらにのる小物でも充分。新たな世界への扉を開いてくれる一軒。

江戸時代の火消し袢纏など、手仕事に見惚れるディスプレイ。
江戸時代の火消し袢纏など、手仕事に見惚れるディスプレイ。

◆京都市東山区縄手通三条南入ル 
TEL.075・561・4726 
営業時間:10時〜18時 日曜休 
地下鉄「三条京阪」駅、京阪「三条」駅から徒歩約2分。

新門前|観山堂(かんざんどう)

花や吉祥文様などから、筍などユニークな絵柄もある印判皿1,500円〜。
花や吉祥文様などから、筍などユニークな絵柄もある印判皿1,500円〜。

好みの絵柄探しが楽しい印判皿と、料理を引き立てる塩梅のいい器。

店に入った瞬間、ずらりと並ぶ印判皿に目を奪われる。可愛らしいもの、ユニークなものから伝統的な文様まで。ずらりと並ぶなかからお気に入りの一枚を探すのも旅の醍醐味。気軽に普段使いできるものから、京焼や古伊万里などハレの日の器まで幅広く揃える『観山堂』は、初心者にもコレクターにも人気の高い一軒。「まずは一枚、手に入れて使ってみて。買った惣菜でも、器が料理を引き立てることに気づいてもらえるはず」と店主の八木美由紀さん。

右・古伊万里花紋小皿8,000円。左・瓔珞紋(ようらく)のぞき1万5000円。
右・古伊万里花紋小皿8,000円。左・瓔珞紋(ようらく)のぞき1万5000円。
右・八木さんは骨董の使い方の手本となるような料理の盛り付けをInstagram(@kanzando_kyoto)で発信している。少し深さのあるなます皿や、長方形の長皿など、最初の一枚にちょうどいい皿も充実。左・レトロな切子のグラスなど、軽やかなアイテムも。
右・八木さんは骨董の使い方の手本となるような料理の盛り付けをInstagram(@kanzando_kyoto)で発信している。少し深さのあるなます皿や、長方形の長皿など、最初の一枚にちょうどいい皿も充実。左・レトロな切子のグラスなど、軽やかなアイテムも。

西陣|dialogueantiques(ダイアローグ アンティークス)

ショーケースの中に見えるのは18世紀デルフト(オランダ)の絵皿。
ショーケースの中に見えるのは18世紀デルフト(オランダ)の絵皿。

物語を持つ西洋の古いものが並ぶ、静謐な美しさの満ちる空間。

国の登録有形文化財でもある銭湯「船岡温泉」の離れに登場した骨董品店は、束の間ここが日本であることを忘れさせる。もともと古いものが好きだったという店主の田中健太郎さんは、フランスの蚤の市で開眼。経年美を纏ったもの、使い手の暮らしを想像させるものなど、物語のある古物に魅了されてきた。「残りの人生をアンティークのことだけを考えて過ごしたい」と、この建屋に惹かれて京都へ移住。琴線に触れたものだけが並ぶ静かな空間だ。

右・19世紀の南フランスの水差し。左・土に埋まって銀化した、ラスター彩が美しい、11世紀ペルシャの鉢。
右・19世紀の南フランスの水差し。左・土に埋まって銀化した、ラスター彩が美しい、11世紀ペルシャの鉢。
右・古いままの壁やタイルを残した、静謐画のような空間。色褪せたラベルや、貫入の入った器など、長い時間をかけて趣を纏った古いものが並ぶ。田中さんが年に3、4回足を運ぶ買い付けはフランスを中心にヨーロッパで。左・イタリアの教会で壁面装飾に使われていた石像。
右・古いままの壁やタイルを残した、静謐画のような空間。色褪せたラベルや、貫入の入った器など、長い時間をかけて趣を纏った古いものが並ぶ。田中さんが年に3、4回足を運ぶ買い付けはフランスを中心にヨーロッパで。左・イタリアの教会で壁面装飾に使われていた石像。

◆京都市北区紫野南舟岡町82・1 
TEL.075・406・1497 
営業時間:13時〜18時 水・木曜休、ほか不定休 
地下鉄「鞍馬口」駅から徒歩約20分。

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