『人生はとんとん -成田昭次自叙伝-』著者 成田昭次さんインタビュー ──「いつも険しい道を選んできた気がします」
撮影・Santin Aki 文・クロワッサン編集部
約30年前、ロックバンド「男闘呼組(おとこぐみ)」の人気メンバーとして華やかな舞台にいた成田昭次さん。一度はすべてを封印し、会社員としての道を歩んでいた。そんな彼が、50代半ばにして再びスポットライトの中心へと戻り、今年、自身の半生を綴った自叙伝を出版した。
「故郷の名古屋でサラリーマンとして働いて10年。やっとその生活に慣れ、これから定年まで全うしようという時期に、男闘呼組再始動の話をいただいたんです。会社ではちょうど新しいプロジェクトを任される話が上がっていたので、僕の人生にとって本当に大きな二択でした」
再始動への具体的なきっかけは、元メンバーの岡本健一さんと27年ぶりに会い、熱心な誘いを受けたことだった。
「直接顔を見て話して、強い思いが伝わりました。昔はそういうことを一番言わなそうで、多分もうやりたくないんだろうなとも思っていた健一が、これだけ熱心に言ってくるということは、やっぱり何かあるし、最初に入った事務所に感謝の気持ちや恩もあるし」
50歳を過ぎてからの決断には迷いもあった。しかし勤務先の社長が意外にも〈こういうチャンスは逃したら二度とやってこない〉と背中を押してくれ、決心がついた。
翌年、名古屋で行われた30年ぶりのセッションでは「声が出ない、ギターが弾けない。最初はそんな状態でしたが、練習を重ねるうちに、メンバー全員の歌唱力やテクニックが、昔より向上していると感じました。特に僕は若い頃には出なかった音域も出るようになったので、長いブランクは、むしろ声帯にとって“良い休憩”になったのかも(笑)」
ヨガやトレーニングに励み、朝型生活で健康を維持
本書を通じて伝わる成田さんの人生哲学は、〈常に険しい方を選んできた〉の一言に集約される。
「自分が楽な道、平坦な道を歩くこともできたかもしれないけど、なんだかいつも最終的には険しいほうを選んでいる自分がいます」
そういえば、昭和平成の少女たちは『男闘呼組の成田くんは、孤独な不良っぽくて、どこか不幸を背負ってる感じがいいのよ』と言いながら応援していたものだった。
「それ、昔からよく言われます(笑)。陰がある、とも。自分では全くそんな感じはしないんですけどね……。顔つきなのかな」
そう笑う今の成田さんの表情は幸せそうで、困難な道を選んだ自身の覚悟に揺るぎがない。
「自ら選んだ道ならそれを貫いて、失敗しようが成功しようが、やるだけのことをやる。やれる限りのことをやってダメだったら、もう諦めがつくと思うんですよ」
もう一つ印象と異なる面が、“健康的”なこと。なんとヨガやトレーニングに励んでいるという。
「だって、若い頃に比べてギターが重く感じるんですよ!(笑)。会社員時代からの習慣で、朝活はもう長いですね。やっぱり、健康と睡眠が一番大事ですから」
『クロワッサン』1163号より
広告