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【時代をつなぐ日常の名店。生涯現役、店主の心意気。】京都・大正製パン所 河戸舜二・晴美さん

月日を重ねるほど美しい。70代の店主がしゃっきり気丈に迎えてくれる日常使いの名店とその心意気。

撮影・渡部健五 構成&文・中岡愛子

「私はぼーっとしてるのが好き。」「来年金婚式、あっという間!」

【時代をつなぐ日常の名店。生涯現役、店主の心意気。】京都・大正製パン所 河戸舜二・晴美さん

大正製パン所
河戸(かわと)舜二さん 78歳
河戸晴美さん 73歳

「ふたりで作業するのは朝。前日から仕込んでおいた生地を分割したり、成形したり。この木箱がいいんです。余分な水分を吸ってくれるし、焼きたてを入れてもふっくらのまま」と朗らかな晴美さん。横にいる舜二さんは、「この箱は私が中学生のとき、祖母が店名を書きましたんや」とマイペースだ。

「私たちの代から始めた」という名物カレーパン190円
「私たちの代から始めた」という名物カレーパン190円

1919年、大正8年創業。府庁前で3年ほど営業した後、ここ西陣に移った。「当時は西陣織が盛んで、毎日番重(ばんじゅう)(運搬用の木箱)にパンを百個くらい詰めて、織り子さんのもとに配達したそうです。

レトロなロゴ
レトロなロゴ

呉服を汚さず、気軽に手にして食べられるいうんがよかったらしくて」と晴美さん。「24歳で嫁いできたとき、初代のおばあさんが早朝からサンドイッチの袋入れに起きてきたりしはって、80や90歳になっても(夫と)一緒に仕事できたらいいなって思いましたね」と振り返る。苦手だった早起きもいつしか慣れ、食パンの生地でつくるカレーパンや、「夏もおいしく食べられるように」と冷やし生あんぱんを考案したり。ふわっと風味のいい味わいは「低温長時間発酵」によるもので、かつて朝晩の配達の負担を減らすためにとりいれた製法を守り続けている。

タマゴロール260円の白身の食感を残す工夫も晴美さんが
タマゴロール260円の白身の食感を残す工夫も晴美さんが

◆京都市上京区般舟院前町136 
TEL.075・441・3888 
営業時間:8時30分〜18時 日曜休

『クロワッサン』1137号より

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