お互い20代のころ、角田光代さんが鏡リュウジさんのトークイベントを観覧したことがきっかけで知り合った2人。家が近く、2人ともお酒が好きということで、飲み仲間になったという。
角田 星占いを読むと、思い当たることがあるじゃないですか。それがおもしろくて、昔から好きなんです。鏡さんにプライベートで占ってもらったことはありませんが、以前、雑誌の企画で鑑定してもらいましたよね。
鏡 ありましたね。2004年でした。
角田 この先どうなるのか占ってもらったところ、〝今年から来年にかけてふたつ大きな出来事があるだろう〟と。ひとつは個人的なことで、もうひとつは大きな周りのこと、と言われ……。
その年に母親が亡くなり、年が明けて直木賞を受賞しました。あのとき思ったのは、星が教えてくれることは、いいこと・悪いことじゃないんだな、と。
母の死と直木賞受賞はどちらもインパクトが大きくて。でも、結局悲しみの中にも得るものがあったり、喜びの中にも何か耐えていかなければならないことがあったり、運って混在しているのかなぁと考えました。
鏡 僕の好きな言葉に、心理学者の河合隼雄さんがおっしゃった「ふたつよいことさてないものよ」があります。ひとつの物事には、よいこととそうでないことの両面があるという意味で、占いも同じです。
吉凶は方便みたいなもので、実際にはいいことばかりでも悪いことばかりでもない。角田さんもそう感じてくださったんですね。まぁ、具体的なことは何も言っていないから、占星術に懐疑的な方には偶然だろうと言われそうですが(笑)。
角田 いえいえ、時期がぴったりでしたし、ぞわぞわしましたよ。