暮らしに役立つ、知恵がある。

 

海外暮らしを終えたアナウンサーの大坪千夏さんが模索する、夫婦の新しい生活。

長年一緒にいるうちにできてきた、二人の中の〝当たり前〟。
でも、そろそろ〝今の自分たち〟に合わせてアップデートしてみませんか?

撮影・青木和義 文・入江信子

海外暮らしを終えた今は人生の 過渡期。新しい生活を模索中です。

大坪千夏さんが、元同僚だった加藤幸一郎さんと結婚したのは2005年4月のこと。
以来18年間、加藤さんの仕事の関係で、スイス、ブラジル、イギリス、マレーシアに在住。海外生活を続けてきた。そしていよいよ今年から日本で暮らすことに。

「これからのステップに関しては、自由に考えているところです。」(加藤さん)「海外ではどうしても肩寄せ合ってという感じになりますね。」(大坪さん)
「これからのステップに関しては、自由に考えているところです。」(加藤さん)「海外ではどうしても肩寄せ合ってという感じになりますね。」(大坪さん)
海外暮らしを終えたアナウンサーの大坪千夏さんが模索する、夫婦の新しい生活。

「結婚前、彼はスイスで働いていたんですが、私自身は会社を辞めて行くかどうか悩みました。でも、彼は、『ずっとはいないよ。長い新婚旅行だと思ってくれれば』という感じで。

それに『自分もそうだったけど、テレビの仕事は特殊だし意外と世界が狭いと思う。外に出てみると世界はずっと広い。一度は海外に住んでみるべきだよ』って。大きな口説き文句だったんですが、今となっては覚えていないそうで(笑)」と大坪さん。

「やっぱり世界は広い」と再認識した海外での暮らし。

最初に住んだスイスのチューリヒはドイツ語圏で、言葉になかなかなじめなかった。そのうえ生活上の法律や規則がものすごく厳しかったという。

ゴミの分別が細かい、日曜日の掃除は禁止、交通違反に厳しい……。大坪さんが一日乗車券を忘れてトラムに乗ったところ、違反だと大騒ぎになり、加藤さんが飛んできて罰金を払ったという出来事もあった。

「海外でふたりきりですから、肩を寄せ合ってという感じにはなりますね。友人同士ならともかく、フォーマルな席だと『今、何ておっしゃいました?』ということもあって。もともと話したい、聞きたい気持ちが強いほうなので苦戦しました」(大坪さん)

夫は海外生活が長く、どうしても頼るシーンが出てきてしまう。頼ってばかりは気が引けて。でも、それがふたりの関係を結びつけている面もあるし……という思いも抱えていたそう。

「実際に住んでみると、やっぱりいろんな人がいるなって。人種も宗教も文化もさまざま。いろんな国にいろんな背景を持つ人がいる。そのことを現在進行形で学んでいます」(大坪さん)

日本で育ち、仕事をしてきた大坪さんに対して、幼少期を海外で過ごし、20年以上海外でキャリアを積んできた加藤さん。そのためか、大坪さん曰く、加藤さんのコミュニケーションの流儀はほかの人と少し違っていて、

「たとえば人の話をすごく丁寧に聞くんです。ぼんやりとした話をしていると、『それはどういうこと?』みたいな。辻褄が合わないと突っ込まれたりします(笑)」

スイス・チューリヒ在住時代。澄んだ空気の中、短い夏のマーケットで、鮮やかな色彩が眩しかった思い出。
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ふたりで始める東京の暮らし。新生活に向けて計画進行中。

大坪&加藤家は、目下、引っ越し作業の真っ最中。週末には最後の荷物が到着するという。海外生活を切り上げるには、さぞ大きな決心が必要だったのではと尋ねてみると、

「実はここ10年くらい日本に戻りたいと思っていました。今、仕事の区切りがついたからこのタイミングだったんです」(加藤さん)

「コロナ禍の時期に、父を亡くしたんですが、遠隔的に頑張ってはみたものの、最後のケアに手が回らなかったし、亡くなったときに帰国するのが本当に大変で、それが悔やまれたんですね。もうそんな思いをしないようにしたいと。それに今は私たちも60歳手前、まだまだ元気で、食べたり飲んだり親しい人たちとも時間を過ごせて、楽しい年代じゃないですか。そういう時期に、やりたかったことを日本でもできるといいなと思っていました」(大坪さん)

と言いつつ今後の生活について、大坪さんは少々戸惑いもあるそうで、
「私はまだこれからの日本での暮らしがどこでどんな形になるかうまく想像できてないんですよ(笑)。今までみたいに出張がちなのか、家をオフィスにして仕事をするようになるのか」
と言うそばから、加藤さんが、
「仕事をするのに基本的にオフィスは必要ないし。今後の生活を築きながら拠点を決めていければと思っているんです」とゆったりと受け答え。

日本=ホームに帰ってきたと思う大坪さん。一方、加藤さんは新しい環境に飛び込む感覚だそう。

リオのカーニバルではブラジル人の強烈な底力に感動。夜通しサンバチームのコンテスト。音楽、 ダンス、華やかな山車!
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「あまり日本では理解されにくいんですが、自由にこれからのことを考えてる最中なんです。とにかく次のステップを日本で迎えることを楽しみにしてます」(加藤さん)

「日本に向けての旅番組でヨーロッパを巡ったりと海外にいても日本に軸足を置いていた気がします。その土地にあまり染まらずいいところも悪いところも見えるという暮らしぶりでした。今は帰ってきて、日本のよさを再認識しているところです。人が親切だったり、さまざまなところで細やかな気配りが見受けられたり」(大坪さん)

これからの生活を見据えてのふたりの関心事といえば、

「念願の犬を飼いたいんですよ」(大坪さん)
「外を走り回れないとかわいそうだよ……」(加藤さん)
「などとまだ話し合っているところです(笑)」(大坪さん)

ともあれ、ふたりにとって帰国直後の今はいわば人生の過渡期。

「ベースの日本に戻ってきて、今後はいろいろな国で経験したことを生かしていきたいですし。海外では彼にイニシアチブがありましたが、今後日本で我々にも新たな関係性が生まれるのかもしれませんね。場所や形態はこれからなんですが、ワクワクしています」(大坪さん)

  • 大坪千夏

    大坪千夏 さん (おおつぼ・ちなつ)

    アナウンサー

    福岡県出身。1990年にフジテレビ入社。1996年までアナウンス部、その後スポーツ局、アナウンス部に所属し、『ウゴウゴルーガ』などのバラエティやスポーツ番組で活躍する。2005年末にフジテレビを退社し、フリーアナウンサーに。

『クロワッサン』1097号より

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