整理収納アドバイザーの中山真由美さんが再婚で得た、家族の信頼関係。
でも、そろそろ〝今の自分たち〟に合わせてアップデートしてみませんか?
撮影・MEGUMI 文・板倉みきこ
歩み寄って支え合う……、再婚で得た、家族の信頼関係。
整理収納アドバイザーの中山真由美さんが、11歳年下の坂元智幸さんと再婚したのは11年前。そこから、当時15歳の娘と12歳の息子と一緒に、新しい家族の形を育んできた。折しも、取材に訪れた日は娘の結婚式の翌日。
「『バージンロードを“トモ”と一緒に歩くって、ずっと前から決めてたんだよ』と娘に言われた時は、やっぱりうれしかったですね……」と語る智幸さんの穏やかな笑顔からは、子どもたちと培ってきた深い関係性が伝わってきた。
焦らずにゆっくりと……。子どもと作った新しい家族の形。
女性の社会進出の一助を担いたいと、整理収納アドバイザーの後進を育てたり、独自の片づけシステムを考案するなど、一線で働き続けている真由美さんだが、最初の結婚当時は、ほぼ社会経験がないまま専業主婦になったそう。
「小さい頃から早くお嫁さんになりたいと思っていて、結婚することで人間として認められる、安心できる、みたいな考えがあった気がします。でも、今思えばコミュニケーションが全くない夫婦で、お互いに寄り添ったり、歩み寄ることができなかった。子どものことを考えると、離婚に至るまでは本当に悩みましたが、一人で子育てしながら生きていこうとシングルマザーの道を選んだんです」(真由美さん)
社会経験の肩慣らしをしようとアルバイト先に選んだコンビニエンスストアで、同じくアルバイトとして働いていた、当時大学生の智幸さんと出会う。
「その時はすごく話の合う弟みたいな感じで、彼の恋愛相談なんかにも乗っていたんですよ(笑)」(真由美さん)
一方智幸さんには、今まで出会ったことのない、自分らしく真剣に生きている人だと強く印象に残った。
「シングルマザーで環境の制約はあるだろうけど、今自分にできることを必死に、それもニコニコ笑顔を絶やさずに頑張る人だなあ、と。当時の人柄は、今も変わりませんね」(智幸さん)
その後アルバイトを辞め、智幸さんは就職、真由美さんも整理収納アドバイザーという仕事に出合った頃に再会の機会を得て、互いの距離が縮まった。
「いつから付き合ったか思い出せないほどスムーズに進みましたが、結婚するまでは6、7年かけ、じっくり関係性を築きました」(真由美さん)
智幸さんが第一に考えたのは、2人の子どもたち。真由美さんと付き合うということは、子どもに対する責任も負う。
「大人同士は恋愛で済みますが、子どもから見たら母との時間を奪う存在。適当な気持ちでは付き合えないし、彼らを悲しませてはいけない……。子どもを含めた関係を築いていこうと覚悟を決め、付き合い始めました」(智幸さん)
その言葉どおり、真由美さんが2人でのデートを提案しても、いつも4人で行動することを優先するほど、智幸さんは子どもとの時間を大切にしてきた。
夫婦二人の時間が増え、新婚気分を味わえるように。
この11年、多感な時期の子どもたちとの向き合い方や、真由美さんの独立・開業などの大きな課題はもちろん、家電で何を買うかといった小さなことまで、夫婦でよく話し合ってきた。
「ルールを決めたのではなく、自然とそうなったんですが、夫はいろいろ話を聞いてくれ、答えを出すわけではないのですが、アドバイスが的確で端的。これまで人生の大きなトラブルを、2、3回は助けてもらいました」(真由美さん)
「いやいや100万回は助けてるよ」と笑う智幸さんも「お互いの性格は真逆。だからこそ支え合えるありがたみを感じますし、考えの違いを我慢するのではなく、話し合って物事を解決していく大切さも学んできました」と語る。
多趣味で、モノを収集する傾向がある智幸さんと暮らすことで、真由美さんの仕事にも影響があった。
「モノには所有している人の思いがこもっています。私の片づけの論理が正解だと押し付けるのではなく、“心に寄り添う片づけ”がいかに大切なのかと実感できましたね」(真由美さん)
真由美さんと2人の子ども、智幸さんの4人で築き上げた家族も、長女が結婚して家を出、長男の独立ももうすぐそこ、新たな展開を迎えている。
「妻と二人だけの時間も増え、新婚のような不思議な気分です」(智幸さん)
「子どものために、これまで本当によくやってくれたと感謝しています。この先は、二人の関係をさらに深めていくのが楽しみですね」(真由美さん)
『クロワッサン』1097号より
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