くらし

上田淳子さんが提案する持続可能なごはんづくり。小さなおかず3つで脱・献立!

料理をつくる以前に、たいへんなのは献立を決めること。「何つくろう」に追われなくなる考え方とは?
  • 撮影・津留崎徹花、黒川ひろみ(顔写真) 文・石川理恵

\脱・献立!/副菜以上、主菜未満。小さなおかずが3つあれば。

「家庭によっては、必ずしもメイン料理をつくらなくてもいいと思います」と上田さん。提案するのは「野菜1+たんぱく質1」の小さなおかずを3皿並べる献立だ。

たとえば、野菜が食べたい、ごはんとおかずが食べたい、晩酌がしたいなど、家族の好みがバラバラでも、この3皿ならみんなが満足できる。また、最低でも6品目は入るから、栄養バランスが取りやすい。

「メインをつくって、副菜を合わせて……とするより、小さなおかずをちょこちょこつくるほうが、調理的にもラクなんです。バリエーションをつけるコツは、3皿の味つけを変えることと、たんぱく質を肉、豆、魚から選ぶこと。魚は練り物やたらこでもいいし、野菜を海藻にしたり乾物を使っても」

同時進行で3皿つくるポイント

●「切る」作業はいっぺんに。3皿分まとめて先にすませる。
●「茹でる」ものは、野菜→肉の順にひとつの鍋を使う。
● 3皿分の下ごしらえが終わってから、「焼く」「蒸す」「炒める」の仕上げをする。
● 一皿は、なるべく火を使わない和えものにする。

(パターン1)

(1)ゆで豚とわかめのごまポン酢 〈お酢味〉

【材料(2人分)】
豚ロース肉しゃぶしゃぶ用100g
塩蔵わかめ50g
貝割れ菜1パック
A[ポン酢醤油大さじ1と1/2~2 白すりごま大さじ1]

【作り方】
1.鍋に湯を沸かし、塩少々(分量外)を入れ、火を止める。豚肉を1枚ずつ広げて入れ、湯の中で振って火を通し、皿などに広げて冷ます(湯の温度が下がったら、再び沸騰させて同様に繰り返す)。
2.わかめは塩を洗い、水に5分ほどつけて戻し、水気を切って食べやすく切る。貝割れ菜は根元を切る。
3.1と2を盛り合わせ、Aを混ぜてかける。

(2)三つ葉としらすの海苔和え 〈醤油味〉

【材料(2人分)】
しらす 40g
三つ葉 1束
海苔 1/2枚
醤油 少々

【作り方】
1.
三つ葉はさっと茹でる1の豚肉を茹でる前に、同じ鍋で先に茹でるとスムーズ)。水にとって冷まし、水気を絞って3cm幅に切る。
2.ボウルに三つ葉、しらす、ちぎった海苔を入れて和え、器に盛り、醤油を垂らす。

(3)きのこと厚揚げのホイル焼き 〈みそ味〉

【材料(2人分)】
厚揚げ 1枚
えのきたけ 1/3袋(50g)
しいたけ 2枚
みそ 大さじ1
みりん 大さじ1と1/2

【作り方】
1.きのこ類は石づきを切り落とし、えのきは2cm幅に切り、しいたけは薄切りにする。ボウルにみそとみりんを入れて混ぜ、きのこ類を加えて絡める。
2.厚揚げを食べやすく切り、ホイルにのせる。両面焼きの魚焼きグリルで2分ほど焼く(片面焼きの場合はここで一度裏返す)。厚揚げの表面に1を広げ、焼き色がつくまで5分ほど焼く。

(パターン2)

(1)たらことポテトのサラダ 〈マヨ味〉

【材料(2人分)】
じゃがいも 1個(150g)
たらこ 30g
マヨネーズ 大さじ1~1と1/2
酢 小さじ1
こしょう 少々
細ねぎ(小口切り)2本

【作り方】
1.
じゃがいもは洗ってラップで包み、電子レンジ(600W)に3分かける。たらこは食べやすく切る。
2.じゃがいもが熱いうちに皮をむく。ボウルに入れ、潰して酢を加える。粗熱が取れたらマヨネーズ、こしょうで味を調え、たらこ、ねぎを加える。

(2)納豆の梅おろし 〈梅味〉

【材料(2人分)】
納豆 1パック
大根おろし 50g
梅干し 大1個
青じそ 2枚

【作り方】
1.納豆は添付の調味料を入れて混ぜる。梅干しは種を抜き、包丁でたたいて大根おろしと混ぜる。
2.器に青じそを敷き、納豆、梅おろしをのせる。

(3)ししとうと牛こまのしぐれ煮 〈甘辛味〉

【材料(2人分)】
ししとう小 1パック(70g)
牛こま切れ肉 100g
みりん 大さじ2 
醤油 大さじ1
サラダ油 小さじ1
粉山椒 適量

【作り方】
1.牛肉は食べやすく切る。
2.フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ、ししとうを加えて1~2分炒める。牛肉を加えてさっと炒め、あらかた火が通ったらみりん、醤油を加えて炒りつける。器に盛り、粉山椒をかける。

(パターン3)

(1)あさりと青菜の酒蒸し 〈塩味〉

【材料(2人分)】
あさり(砂抜きしたもの)15個程度
チンゲン菜 2株(100g)
しょうが(千切り)小1かけ
酒 大さじ3
塩・こしょう 各少々

【作り方】
1.あさりはこすり洗いをする。チンゲン菜は半分の長さに切り、根元は薄めの放射状に切る。
2.フライパンまたは鍋にすべての材料を入れ、中火にかける。ふたをし、あさりの口が開くまで加熱し、味を見て足りないようであれば塩、こしょうで調える。

(2)パプリカと挽き肉のオイスターソース 炒め 〈中華オイスターソース味〉

【材料(2人分)】
パプリカ1個
牛ひき肉100g
オイスターソース大さじ1
ごま油小さじ1
にんにく(おろし)小さじ1と½ 塩・こしょう各少々

【作り方】
1.パプリカは食べやすく切る。
2.フライパンにごま油をひき、にんにく、ひき肉を入れて炒める。あらかた火が通ったら軽く塩、こしょうをし、パプリカを入れてさっと炒める。仕上げにオイスターソースを加えて火を強め、全体に絡める。

(3)アボカドと豆腐のわさび醤油和え 〈醤油味〉

【材料(2人分)】
アボカド小1個
木綿豆腐1/2丁(ミニサイズなら1パック)
わさび小さじ1/3
醤油小さじ1程度

【作り方】
1.アボカドは縦半分に割り、種を取る。スプーンで一口大にすくい、ボウルに入れる。粗く崩した豆腐を加えて、ざっくり混ぜる。
2.わさびと醤油を混ぜ合わせ、1にかける。

「ごはんづくりをラクにする、上田順子さんの「脱・献立」のススメ。」

毎日のことだからこそ、思いつかずに悩んでしまう献立。その負担から抜け出すポイントは大きく2つあると、共働きで双子の男子を食べさせてきた上田淳子さんは言う。

「まず一つは、料理名から考えないことです。『ハンバーグ』や『餃子』などと料理名を決めると、そのための材料を買い揃えようとして応用が利かなくなりがち。それに、思いつく料理名の数ってそう多くないから、マンネリになるのも当然なんです」

料理名で決めるのは時々にして、家ごはんの基本は「食材から考える」のがスムーズ。「家にあるから」「特売だったから」「連日お肉だから今日は魚」などを拠り所に食材を決め、次に「どう食べるか(味、調理法)」を考えていけば、ゼロから思いつくのを待ったりせずに今夜のおかずが決められる。

たとえば特売の鶏肉を選んだとして、「昨夜は和の煮物系をつくったから、今夜は中華味がいいかな。揚げ物をする気力はないから、チリソース風のケチャップ炒めにしよう。もう一品はシンプル味がいいから、青菜をさっと煮よう」という具合。

食材→味→調理方法のチャート式に考えるのが、マンネリにおちいらず、日々のバリエーションがつけやすくなるコツだ。

献立を組むことよりも、わが家の事情を優先に。

「もう一つのポイントは、一汁何菜などといったいわゆる『献立のふつう』から、一度離れてみることです。献立に悩む理由が何なのかは人によって違うもの。家族の好み、生活スタイル、かけられる時間や予算など、その家の条件に合わせてカスタマイズしたほうが、ごはんづくりに無理がなくなります。たとえおかずが一品でも、汁物がなくても、つくる人の気持ちと食べる人の気持ちが満足すればいいですよね。その落としどころをいかに見つけていくかを、優先させていきましょう」

家ごはんは、「喜ぶ」+「できる」で!

無理なく続けられてハッピーなのは、気力、持ち時間、予算などを踏まえて「つくる人ができること」と、「食べる人が喜ぶこと」の両立。2つが重なるレパートリーを増やそう。
上田淳子

上田淳子 さん (うえだ・じゅんこ)

料理研究家

日々のごはんから本格フレンチまで、おいしくつくれるポイントをおさえたレシピが人気。『ラクするご自愛ごはん』ほか著書多数。

『クロワッサン』1078号より

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