仏壇は仏さまの世界を模したもので、基本的には中央奥にご本尊を配置します。
ご本尊とは、信仰の対象となるもので、仏像や掛け軸、お題目など形はさまざまです。手前に仏さまにお供えするための香炉(お線香)、燭台(ローソク)、花瓶(お花)を配置します。宗派によって配置の仕方は違います。
仏壇は仏さまの世界を模したもので、基本的には中央奥にご本尊を配置します。
ご本尊とは、信仰の対象となるもので、仏像や掛け軸、お題目など形はさまざまです。手前に仏さまにお供えするための香炉(お線香)、燭台(ローソク)、花瓶(お花)を配置します。宗派によって配置の仕方は違います。
それに水またはお湯やお茶、ご飯があればいいでしょう。さらに、喜んでもらえるようにと思いを馳せつつ、故人が好きだったものを供えるのもいいですね。ちなみにご飯を供えたときは、湯気が立っているうちに下げて食べて大丈夫です。生ものの肉や魚、とげのある花などは避けましょう。
地域や宗派によって考え方は違いますが、ていねいな場合は、お盆の始まりにお墓にお迎えに行き、お盆期間中は家の仏壇にご先祖さまが帰ってきていると考え、終わりにまたお墓に送って行くというところもあります。
それでは、お墓や仏壇にお参りしないと供養ができないかというとそういうわけではありません。仏教では、ご先祖さまは私たちの周りや心の中、どこにでもいるとされています。
そのため、実はいつでもどこでも手を合わせて供養することができるのです。しかし、ご先祖さまは姿かたちがなくイメージしにくいので、仏壇や写真などを置いて、手を合わせやすくしているのです。
お墓の形やお墓参りの習慣は時代によって変化するため、正しい手順というものは特にありません。
宗派や地域によって異なりますが、一般的には、墓地に着いたら参拝者がそろって合掌礼拝し、周囲や墓石を掃除してから水鉢に水を供え、お花やお線香をお供えします。その後、身なりを整えて読経し、最後に再び合掌礼拝をします。
お線香の香り、きれいなお花、ローソクの灯りは、いずれも仏さまへのお供えです。
一説によると、線香や焼香はよい香りに満ちた仏さまの世界を表しており、お花は仏さまの慈悲、灯明は仏さまの智慧を表すともいわれています。
水は即ち命であると考えられていて、大切なもの。その大切なものをご先祖さまにお供えするということで、お参りした際にはお墓の上からかけます。
その起こりについては、灌頂(かんじょう)(頭頂部に上から水をそそぐ密教作法)や施餓鬼(せがき)(餓鬼道に落ちた魂に施す作法)など、さまざまないわれはありますが、宗派や地域により考え方が異なるため、どれか一つが正解というわけではありません。
単にお墓をきれいにするという点でも意義があります。
「彼岸」とはもともと仏教用語で、「向こう岸に渡る」という意味です。つまり、現世から涅槃(ねはん)の彼岸に至ることを表しています。お彼岸は春分と秋分を中日として、その前後3日間、あわせて1週間のことを指します。
中日である春分の日と秋分の日は、昼と夜の長さが同じになり、太陽が「西方浄土」があるとされている真西に沈むので、私たちがいる現世が、ご先祖さまのいらっしゃる浄土にいちばん近くなる日と考えられているのです。
そのため、この時期にお墓参りやお寺参りをして、ご先祖さまを供養する習慣が生まれました。
普段やってはいけないことはしないようにしましょう。ご先祖さまに対して尊敬の念を持って接して、失礼なことはしないということを心がけて。
たとえば、お墓の前でけんかなどをすることがないように。家族で争いごとをしていると、ご先祖さまは悲しみます。大声で騒ぐことや、ゴミを始末しないで散らかしたまま帰るなど、周囲のかたがたやお寺に迷惑をかけることをしてはいけません。マナーを守ってご先祖さまに真摯な姿勢で向き合いましょう。
最近では、お供えしたものはそのままにせずに持ち帰るルールになっているお墓もあります。
宗派によって拝む作法や拝むことの意味合いは違います。自分たちからお願いごとをするのでなく、感謝の気持ちを持つことが必要です。足りないものをあれこれと求めるのではなく、今現在、足りていることに感謝をする気持ちが大切です。
そのうえで、「ご先祖さまは何をしたら喜んでくれるだろうか?」と考えてみましょう。それは、生きている私たちが今を生き生きと生きることです。そして、何ごとにもとらわれずに、「私が私に生まれて、本当によかった」と受け止めることができたら、ご先祖さまも喜んでくれるのではないでしょうか。
仏壇や位牌がなくても、ご先祖さまはどこにでもいてくれます。家にいても感謝の気持ちを持ってお盆を過ごすことに意義があります。写真や花を飾ったり、近頃は火を用いないLEDのローソクもあるので、できる範囲でご先祖さまを思いましょう。
お墓参りは、人によって距離や環境などが違うので、自分が行ける頻度で問題ありません。お盆の期間でなくても、行けるときでいいと思います。お参りしたいという気持ちが大切です。ただし、時間が経ちすぎると、お墓の周りの雑草が伸びていくので、管理の意味からもあまり長い間放置しないほうがいいでしょう。
『クロワッサン』1074号より
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