くらし

沈黙が気まずい、相手が不機嫌…ラジオDJ秀島史香さんに聞く、シーン別「大人のコトバと会話術」。

人間関係を円滑に、もっと楽しむためにはコトバが不可欠。経験豊富な会話のプロに学ぶ大人のコミュニケーション術で、対人運アップを狙おう。
  • 構成&文・オカモトノブコ

1. 会話を始める

>>「会えてうれしい」を先出しに。お互いのバリアが外れて、ご縁を共有する場が一気に、明るく開きます。

会話のスタート地点では誰しも、〝話が弾むかな〟と不安に思っているもの。そこへ輪をかけて、相手を気にする余りについ萎縮したり、緊張したりすることってありますよね。

そんなときのマジックワードが、最初の手土産として相手に渡す「会えてうれしい!」のコトバ。

第一声から「今日は楽しみにしていました」と、まずは笑顔で好意を伝えてみましょう。相手の喜ぶ様子が分かれば、何より自分の安心感もアップして、お互いの見えないバリアが外れます。

「楽しい」「うれしい」「好き」を伝えるのに、気恥ずかしさを感じるかもしれません。けれど、そこは面の皮も丈夫になった大人ですから(笑)、同じ時間を共有できるご縁を大切にしながら、照れることなく、その場を明るく開いていきましょう。

2. 会話を盛り上げる

>> 相手の興味や関心をスタート地点に、「もっと知りたい」気持ちでいまの会話をフルに楽しんで。

仕事柄、多くの方とお話しする機会がありますが、コミュニケーションの達人に共通するのは〝きっかけはまず自分から〟という姿勢。目の前の相手を喜ばせ楽しませる、サービス精神がそこにはあります。

会話の最中はつい、次の展開を気にして反応が手薄になりがちですが、〝聞き上手〟とはよく言ったもので、まずは聞くことを楽しみ、ただ笑うだけでもいい。

さらに「それ面白いですね」「えっ、どういうこと?」など、もっと知りたい・聞きたいをコトバで表せば、相手の話したいスイッチも自動的に入ります。そもそも会話って、思ったとおりには進まないライブ的なもの。予測できない化学反応を、逆に楽しめるといいですね。

3 話題に困ったら

>> オールマイティな鉄板ネタに〝自己開示〟や〝ほどよい自虐〟をプラスして共感を呼び起こす。

初対面では特に〝何か話さなきゃ症候群〟に陥ってしまいがち。可能であれば、その人の好きそうなもの、自分との共通点などを事前に少しでもリサーチしておけると安心です。

それでも話題に困ったら、人を選ばないのはやっぱり鉄板の季節ネタ。

「暑いですね」だけで終わらず、「エアコンをかけて寝たら冷えちゃって。お宅では何度にしてます?」など、ふた言目の〝自己開示〟に簡単な質問を加えてみましょう。

会話を広げるには、2~3往復程度のウォーミングアップが必要。そのためには相手が共感しやすい、軽めの話題がいいんです。また使えるのは、例えばリアルな老化現象の話や、ちょっとした失敗談など。〝あるある〟と思ってもらえればしめたもの。お互いへの親近感が、ぐぐっと深まります。

4 沈黙が気まずい

>> 会話に〝間〟があるのは自然なこと。シーンとした空気を打開したいなら「そういえば」がお守りフレーズに。

会話の〝間〟を長く感じて焦る気持ち、よく分かります。責任感の強い人に限って〝自分がなんとかしなきゃ〟とつい相手の発言前にカットインしたり、苦し紛れに本心と離れた発言をしたりしがちなんですよね。

でも経験上、相手は単に次の発言を考えていただけというケースがほとんど。笑顔でゆっくり待つ、あるいは相づちの後に少しの〝間〟があるだけで、むしろ思いやりや共感の気持ちが伝わったりするものです。

もし無言の場をなんとかする必要があれば、「そういえば」に続いて、気になっている物事を伝えてみて。「お腹すかない?」などと尋ねるのもいいですね。周りを見渡せば、風景や建物、人々など、そこはネタの宝庫。肩の力が抜けた話題で、自分の興味を楽しく共有してみましょう。

5 ほめる・ほめられる

>>「いいね」を即、見つける習慣と相手へのリスペクトがあれば最高のコミュニケーション手段に。

〝ほめる〟コトバは、関係を深める素敵な方法のひとつ。何も〝気の利いたことを言おう〟と気負う必要はなく、思ったことをサラリと伝えればいいんです。とはいえ習慣がないと急にはできませんから、身近な友人同士などで、思考の「いいね!」反応を訓練しておけるといいですね。

「さすが」というコトバも使いようで、声のトーンで本心か、お世辞かどうかは伝わります。変な下心はすぐにバレるので、取ってつけたことは言わないほうがベターでしょう。

逆に〝ほめられた〟ときは、つい照れて謙遜しがちなもの。けれど「いやいや~」と全否定するのでなく「そう見ていただけてうれしいです」「励みになります」と返してみて。相手が伝えてくれた好意に対する、素直な感謝と喜びの気持ちが伝わります。

6 相談されたとき

>> まずは話を「聞き切る」。そして共感のコトバで相手の思いを受け止めて。

相手にしてみれば、抱えきれない悩みを吐き出し、聞いてもらうだけでも心が軽くなるもの。必ずしもアドバイスを求めているというわけではなく、「それは大変だったね」「確かにひどいね」といった共感の想いをコトバで表すだけでも充分です。

アドバイスが必要な場合も、まずは相手の話を聞き切り、考えの交通整理をお手伝いするのが最優先。そして話の最後には「今度、私にも何かあったら聞いてね」といったコトバを添えれば、相談して恐縮する相手の気持ちももっと軽くなると思います。

7 聞きづらい・言いづらい話

>> 相手に負担をかけない〝前置き〟と〝提案型〟のコトバで関係を対等に。

大切なのは、それを伝える必要性を、相手にも自分にもきちんと説明できる理由があるということ。

「言いづらかったら大丈夫」「ちなみに我が家では~」などと前置きすれば、答える側の負担も軽くなると思います。改善点を伝える場合は「こうしたらもっと良くなると思うよ」「みんなも助かるし、私もうれしい」と提案すれば、納得しやすいもの。相手の気持ちや立場を尊重しつつ、対等な関係で話を進められるといいですね。

8 不機嫌な相手と話すとき

>> ただ見守るだけでも充分。コトバのナイフには 〝心の防水加工〟を施して。

疲れていたり余裕がなかったりで、誰しも不機嫌なときはあるものです。そんなときは一方的に話を続けようとせず、深追いしないのが大人のコミュニケーション。

〝誰とでもうまくやりたい〟と期待するほど落ち込みますが、合わない人は一定数いる、と基本設定にすれば気持ちがラクです。その意味で、もしコトバで攻撃されても、自分の心を守る〝防水加工〟で表面的に応対して全く差し支えありません。身近な人が不機嫌な場合でも、そっと見守るだけが優しさになることだってあるんですから。

9 失言したとき

>> 大切なのは、事後の対応。誠実にコトバを尽くせばお互いの気持ちがラクに。

失言の直後にコトバを取りつくろっても、判断力が低下して言い訳にしか聞こえません。必要なのは、まず先に「ごめんなさい!」とお詫びのコトバを伝えること。その場の空気だけでなく、失言した自分の心のリセットにもつながります。

後から失言に気づいた場合も、メールや電話でも、謝るのに遅いということはありません。失敗を認めたうえで、できる対応を誠実に。そんな姿勢こそ、大切にしていきたいものです。

秀島史香

秀島史香 さん

ラジオDJ、ナレーター

FM局のDJ、TV・CMなどのナレーション、コラムや音楽レビューなどの執筆活動でも幅広く活躍。近著に『なぜか聴きたくなる人の話し方』(朝日新聞出版)。

『クロワッサン』1074号より

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