議論好きな国民性を持つオランダでは、医療介護制度にも国民の意向が色濃く反映され複雑な仕組み。
2002年には積極的安楽死が合法化し、認知症の兆候に気づいた本人が、自らの意思で安楽死を選ぶことができるようになった。認知症の人だけが暮らすビレッジタイプの「デ・ホーヘワイク」には、今も世界中から見学者が訪れる。
日本と同じ「中福祉・中負担」の社会保障と言われるオーストラリアは、ヨーロッパとアメリカの折衷型介護システム。開拓の歴史の中で、先進国の良い部分を取り入れてきた。
中でも、1980年頃から始まったホスピスケア(終末期の緩和ケア)の発展が目覚ましい。
牧師が運営する一軒家でアットホームな施設が多く、ここでは、無駄な延命や治療はいっさい行なわない。痛みやつらさ、死に対する恐怖を取り除きながら、その人らしく、穏やかに死を迎えるための準備がなされる。
日本の介護施設に暮らす男性からは、居場所がなくおとなしくしているという声も聞こえるが、オーストラリアではちょっとした家の修理や庭の手入れなどを自分たちでする習慣があり、工具が揃ったDIY用のガレージが男性入居者の溜まり場になる。
妻がラウンジでおしゃべりを楽しんでいる間、夫はガレージで椅子づくりという光景も。世間話から、日頃の悩みや身体の不調を把握したりするそう