くらし

介護サービスを受けてくれない親とどう話せばいい?【介護の悩み相談室・コミュニケーション編】

「離れていてもちゃんと介護できる?」「罪悪感を感じてしまう」……
ジャーナリストの太田差惠子さんが、別居介護にまつわる疑問と悩みに答えてくれました。
  • イラスト・古谷充子 文・天田 泉

Q.親が嫌がるので、家族で介護するしかない?

多くの場合、親は「介護認定は受けない」「ヘルパーは嫌」「デイサービスは行きたくない」などと言うでしょう。ただ、家族だけで抱え込むことは子を自滅に追い込みます。たとえ、親が抵抗したとしても、介護はマネジメントだと考えると、介護保険サービスの利用は必須です。

親が耳を貸さないようなら、かかりつけ医から話してもらったり、息子の話なら聞く親もいるので、多方面からの説得を試みましょう。突破口はきっと見つかるはずです。

Q.親の要望を断ったら怒鳴られました……。

親世代のなかには、子どもが面倒を見るのは当然、と考えている人もいます。疲れていたり仕事が忙しくて帰れないのに、「親不孝者!」と怒鳴られたり、「見捨てられた」と泣かれたりしたら心が痛みますね。

それでも、無理して親の要望に応えようとすると、今度は自分が倒れてしまいます。親の望みであっても受け入れられないときは「ごめん、疲れていて行けない」ときっぱり伝えることは、仕方ないことだと思います。

Q.いつも「大丈夫」と言う親、 本当なのか心配です。

親は「子どもに迷惑をかけたくない」と思うので、何か不自由を感じても自分からは言ってこないものです。帰省をしたら、親の様子をよく観察して、困っていることはないか気を配りましょう。親が何ができて、何ができないかをしっかり把握することで介護の質も変わってきます。

また、電話の回数を増やすなど、普段から親の様子を把握してると変化に気づきやすくなります。コロナ禍以前に親にシニアフォンを渡して、帰省のたびにLINEやテレビ電話の使い方を教えていた方は、コロナ禍に親の顔を見てコミュニケーションをとることができて、努力の甲斐があったと話していました。親には無理と決めつけず、試してみる価値はあると思います。

●確認しておくといい介護保険以外のサービス

【自治体独自のサービス例】
・緊急通報システム
・ゴミ出し援助(見守りをかねる)
・食事の宅配、食事会(見守りをかねる)
・住宅改修費助成(介護保険サービスと合算できる自治体もある)
・紙おむつの支給、購入費助成
・出張理美容

【地域の非営利サービスの例】
・助け合いサービス(ホームヘルプ)
・困りごと支援サービス(電球・蛍光灯の取り 替え、簡単な大工仕事、花・植木の水やりなど)
・安否確認サービス(訪問や電話で様子をたずねるなど)

太田差惠子

太田差惠子 さん (おおた・さえこ)

介護・暮らしジャーナリスト

1993年頃より老親介護の現場を取材。『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)など著書多数。

『クロワッサン特別編集 介護の「困った」が消える本。』(2021年9月30日発売)

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